研究課題/領域番号 |
26285142
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研究機関 | 鹿児島国際大学 |
研究代表者 |
田畑 洋一 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 教授 (20163652)
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研究分担者 |
北川 慶子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (00128977)
高山 忠雄 鹿児島国際大学, 福祉社会学研究科, 客員教授 (20254568)
田中 安平 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 教授 (20341662)
小窪 輝吉 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 教授 (30144421)
岩崎 房子 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (60352473)
大山 朝子 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (60708965)
玉木 千賀子 沖縄大学, 人文学部, 准教授 (70412856)
島村 聡 沖縄大学, 人文学部, 准教授 (90713082)
増田 和高 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 講師 (40596962)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 島嶼集落 / 生活互助 / 地域再生 / 防災互助 |
研究実績の概要 |
琉球弧の島嶼においては過疎高齢化が進行し、地域機能の低下を余儀なくされつつ、相互扶助(互助)の伝統等の地域文化およびその精神が根強く残っている。その「琉球弧型互助」慣習を福祉資源の観点から検証するために、昨年度実施した琉球弧の島嶼集落における相互扶助(互助)・伝統芸能・冠婚葬祭等の地域文化、郷友会組織、自主防災組織等に関する調査と島嶼集落における地域づくり活動の調査結果をふまえ、日常的な近隣住民間の相互扶助や祭りや伝統芸能など集落文化の重要性について指摘し、防災互助については、住民による集落の消防団組織が行政主導のものでありながら、集落住民から構成されている点等により身近な相互扶助(互助)との温度差を感じさせない、住民に寄り添った組織となっていることを報告した。 また、調査対象地である島嶼集落における医療・保健・福祉のインフラおよびサービス内容の調査に関連し、その基盤力を強化するため、各地で集落住民および福祉サービス従事者に対し、介護教室を実施した。 さらに、地域文化の構成要素の抽出を行うため、琉球弧の歴史文化に根差した互助慣習に関し、年中行事関係者等からの聞き取り調査の実施、研究文献や町誌・村誌等における先行事例などの収集を行い検証した。 なお、集落の地域支え合い活動においてその重要性が確認された民生委員に関して、島嶼集落での地域再生実践モデルの方向性を検討するために、地域づくり活動と民生委員活動の関連性について引き続き調査している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
島嶼集落における地域づくり活動との関連を明らかにするために、琉球弧の島嶼集落における相互扶助(互助)をはじめとする祭りや伝統芸能・冠婚葬祭等の地域文化、郷友会組織、自主防災組織等を調査し、それによって「琉球弧型互助」の概念化を行うための前段階として、シンポジウムをはじめ、研究ノートなどを報告している。 今年度は、概念化をより明確にし、実証化するために、民生委員に対する調査や住民の生活状況、保健・医療・福祉のインフラおよびサービスの内容の追加調査を実施し、最終報告書として公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
一昨年度に行った琉球弧の島嶼集落における相互扶助(互助)、祭り、伝統芸能等の地域文化と郷友会組織、防災互助および地域づくり活動を調査した中で、集落の地域支え合い活動における民生委員の重要性が新たに確認された。そこで、今後は地域づくり活動と民生委員の役割と課題の関連性について引き続き調査し、島嶼集落での地域再生実践モデルの方向性を検証する。 また、地域文化、防災互助および地域支え合い活動が在宅での保健・医療・福祉サービス利用者である住民のニーズにどのような影響を与えているのかを明らかにするための集落における住民の生活状況、保健・医療・福祉のインフラおよびサービスの内容等の調査を実施する。それらをふまえヒューマン・エコシステム開発の構想に基づく「協働」のコンセプトによる安心・安全な地域づくりのための各種方策を考案し、島嶼集落の再生プランおよび実践モデルの開発を行い、その妥当性と拡張性を検討する。調査方法として個別面接調査とグループインタビューならびにアンケート調査を用いる。同時に、以上の調査から得られた結果をまとめ、研究成果報告書として配布・公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定であった奄美諸島および八重山諸島の島嶼集落における民生委員を対象にしたアンケート調査およびそれらの集落における住民の生活状況、保健・医療・福祉のインフラおよびサービスの内容等について聞き取り調査等が次年度までかかることとなった。その結果、以上の研究調査にかかる予算執行を次年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額として積み残した予算について、①後納通信費の支払い、②アンケート調査のデータ入力委託費、③データ集計のための集計ソフトの購入等に充当する予定である。
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