研究課題/領域番号 |
26285147
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
蓮花 一己 帝塚山大学, 心理学部, 教授 (00167074)
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研究分担者 |
朴 啓彰 高知工科大学, 地域連携機構, 客員教授 (60333514)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢ドライバー / 高齢者 / 運転行動 / ハザード知覚 / 白質病変 / 認知機能 / 安全確認 / 視覚困難 |
研究実績の概要 |
平成26年度と平成27年度を通じて,高知県自動車学校において,高齢ドライバー96名に対する調査を実施した。この内,脳ドックを受検し,MMSE等の機能検査や運転行動調査の分析が可能となった92名の有効サンプルが得られた。有効サンプルの調査対象者の平均年齢は75.5歳であり,男性70名,女性22名であった。調査内容は,前述の脳ドックでのMRI調査に加えて,1)主観的健康感等の質問紙調査,2)認知機能検査(MMSE,N-back課題検査),3)運転補償方略質問紙調査,4)ビデオ映像によるハザード知覚調査,5)リスクテイキング傾向の質問紙調査,6)ジャイロセンサ及びドライブレコーダを用いた行動実験,7)運転への指導員評価であった。調査参加者の脳ドックに関するデータは二重盲検法を用いて取扱い,教習所での調査実施の担当者にはその情報を伝えていない。 その後,得られたデータへの記述統計分析と社会属性別の検定を実施した。前期高齢者と後期高齢者の比較では,本サンプルについて明確な違いは得られなかった。MMSE得点に基づいて,高得点群・中得点群,低得点群の3群に分けた時,群間で指導員評価得点に明確な差が得られた。また,ハザード知覚得点との関連も見られた。N-back課題得点やMRIでの白質病変の程度に応じて,行動指標との関連性について分析を継続中である。視覚困難度や安全確認などの指標間で関連が見られており,病的老化の程度と運転行動指標間の関連について,明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画はほぼ順調に進行している。高知県での教習所の協力により,調査に関わる教習所の施設,車両の貸与や指導員の協力を得ることができた。また,研究分担者である朴教授の尽力により,高知工科大学地域交通医学研究室の脳ドック受検者から2年間で96名(このうち有効サンプルは92名)の調査参加者を得た。室内調査と室外調査の分析についても順調に推移している。結果について,これまでの分析によると,MRIでの白質病変の程度よりも,MMSEでの認知機能検査の評価の方が運転行動に強い影響を示すという傾向が示された。追加分析の手法について再度検討を要する。さらに平成28年度の教育プログラムの方針にも影響を及ぼす可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
高知県自動車学校からは平成28年度の協力について基本的に了承を頂いている。本年度の教育プログラムの実施を行う対象者について,MRIの結果に基づくのか,MMSEの結果に基づくのか,あるいは両者の組み合わせを行うのか等について,至急に検討を行い,方針を決めなければならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査実施期間が平成27年度後半にずれ込み,2回に分けて実施する予定が1回となった。1回分の調査期間が延びたものの,高知県までの旅費及び人件費・謝金の支出を圧縮できた。次年度に多くの参加者を得て,充実した調査を実施するために,平成28年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力者および学生・院生スタッフの謝金・交通費として充当する予定である。
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