研究課題/領域番号 |
26285149
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中澤 潤 千葉大学, 教育学部, 教授 (40127676)
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研究分担者 |
中道 直子 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (10389926)
中道 圭人 静岡大学, 教育学部, 准教授 (70454303)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 対人関係・行動 / 自己制御 / 実行機能 / 認知制御 / 情動制御 |
研究実績の概要 |
本研究は人間の自己制御活動を、クールな情報処理へのホットな情動の影響や、クールとホットな実行機能(EF)という視点から捉え、幼児期からの縦断研究と成人の認知実験等から総合的に解明しようとする。特に、自己制御の認知的制御と情動制御の2側面をとり上げ、認知制御としてのEF(クールEFとホットEF)、情動制御としての生得的な情動の内的抑制(生理反応)と小学校入学後の学業成績や仲間関係、問題行動との関連を縦断的に分析し、その寄与を明らかにするものである。 平成27年度は、26年度に行った年長幼児を対象にしたクールな実行機能とホットな実行機能、心の理論、社会的情報処理と仲間適応、情動喚起刺激視聴時のサーモグラフによる体表温の測定のデータの解析を行った。男児の仲間関係はクールEFと正、ホットEFと負、女児の仲間関係はそれとは逆の相関が見られた。男児・女児共に仲間との相互選択関係にクールとホット双方のEFが関与していた。多面的心の理論課題では女児の成績がよく、また男女児共に、仲間からの友人被選択数と正の相関があった。サーモグラフによる情動回復力は男児の相互選択数と正の相関が見られた。これらの結果は幼児の仲間関係の背景に、ホット、クールな実行機能による認知制御と生理的反応による情動制御が関与していることを示す。 さらに平成27年度はこれらの幼児が1年生になった時点での実行機能、心の理論の追跡調査を行った。データの分析は平成28年度に残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に計画していた小学1年生時点での追跡調査データは取り終わった。データは入力済みであり、分析が残されている。成人を対象とする認知実験は予備的研究を行ったが、本研究が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に当初の計画を進めていく。平成27年度に測定した小1年時点のデータの解析、また年長児時点との対応等、縦断的な分析を進める。さらに、成人実験として顔刺激への体表温、クールな情報処理へのホットな情動の影響を見る情動表情を手がかりとする空間手がかり課題、社会的情報処理における符号化の眼球運動分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
成人用実験が予備研究で終わったため、本格実施のための刺激提示・コントロールソフトの購入が遅れたこと、また子どもデータの収集が年度末になり、データ入力が終わらず、人件費・謝金の支出が遅れていることによる。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度に、当初予定していた刺激提示、コントロールソフトの購入を行う。また、調査実施、データ入力などの謝金処理を行う。
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