研究実績の概要 |
平成29年度には、本研究の理論面の再検討とともに、平成27年2月に回収した資料から、主に性別受容、乳幼児への関心、健康習慣の3点で来潮との関連を分析した。分析対象は、小学校4年から中学校3年の女子児童・生徒41,838人であった。 1.性別受容:思春期前後の女子児童・生徒の性別受容の学年変化と時代変化について調べた。性別受容・肯定率は、小学4年生から中学2年生にかけて肯定率が低下し、中学3年生で上昇する傾向は1987年以来変化していない。28年間、肯定率が上昇傾向にある。性別受容・肯定率が最低になる中学2年生の肯定率も、2015年には全学年で過半数を超えた。性別受容・肯定群を各学年別に既潮・未潮で分類すると全体して有意差が見られ、従来通り、各学年で既潮群の肯定率が低い。 2.乳幼児への関心:将来の職業として保育士・幼稚園教諭を選択する比率は、来潮の時期に上昇する傾向が見られるため、乳幼児への関心は思春期にピークを迎えることが推測される。今回も、従来同様、思春期前後では保育士・幼稚園の先生のような、乳幼児に関わる職業が選択されていた。しかし、時代的に選択率が低下する傾向もみられ、思春期変化が乳幼児への関心を高める効果が低下していることも考えられる。 3.健康習慣:調査前夜の睡眠時間、この1週間の朝食回数に関する資料を得て分析した。学年の上昇と共に睡眠時間は短時間になっていく。小学校段階では8時間以上であったが、中1で7時間台、中2、中3では6時間台であった。他方,毎朝(7回)、食べた児童・生徒の比率は、小学校4年生の85.3%から、学年の上昇とともに低下し、中学校3年生では、73.0%であった。平均初潮年齢は、朝食が週6回以下の集団は低くなり、睡眠時間が8時間未満の集団も低い傾向が見られた。短い睡眠時間や朝食を食べない習慣は、来潮の引き金となることが推定される。
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