研究課題/領域番号 |
26285159
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
渡辺 範雄 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, トランスレーショナル・メディカルセンター, 室長 (20464563)
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研究分担者 |
八ツ賀 千穂 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (80368919)
下寺 信次 高知大学, 医歯学系, 准教授 (20315005)
山田 敦朗 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10315880)
齋藤 大輔 福井大学, 学内共同利用施設等, その他 (30390701)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | うつ病 / 思春期 / 国際情報交換 / ニュージーランド / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
近年、思春期においても重要な疾患としてうつ病が注目されている。ニュージーランドでは、うつ病精神療法の第一選択とされる認知行動療法をコンピューターゲーム化した「SPARX」が作成され、思春期うつ病治療に対して従来のカウンセリングとの非劣勢を証明して脚光を浴びた。しかし思春期は人間的成長過程で発症前の予防も最重要課題他考えられるが、世界的にも予防に焦点を当てたSPARXを利用した研究はない。 本研究では、ニュージーランドの研究者とSPARXの日本語版を共同制作する。さらにSPARXのうつ病予防効果を多施設共同無作為割り付け対照試験で明らかにする。また脳機能画像検査を平行することで、思春期うつ病の生物学的機序を明らかにする。 平成26年度の実績としては、主にソフトウェアの開発を行った。ニュージーランドで開発されたCD-ROM版のSPARXだが、信頼にたるデータ収集と多国籍での使用に耐えうる目的でインターネットブラウザ経由のSPARX-Rへと、2014年に大幅な改訂があった。これはわが国だけではなく、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ等の多国籍の共同研究を行っている関係上、必要な改訂であった。 そのため、本研究ではSPARX-Rの開発後にその日本語版であるSPARX-Jの開発を行っているため、予定よりも遅れが生じている。しかしながら現在、SPARX-Rの翻訳・逆翻訳、原作者によるチェックを経てSPARX-Jのトランスクリプトを完成し、制作費用の見積もりを得て調整を行っている段階である。 また、ニュージーランドとの共同研究であるため、英語版の研究計画書を作成し、定期的に二国間のディスカッションを行って計画書を洗練させている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のように、ニュージーランドで開発された認知行動療法ソフトウェアのSPARXだが、信頼にたるデータ収集と多国籍での使用に耐えうる目的でインターネットブラウザ経由のSPARX-Rへと、2014年に大幅な改訂があった。 そのため、本研究ではSPARX-Rの開発後にその日本語版であるSPARX-Jの開発を行っているため、予定よりも遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本年はまずSPARX-Rの完全日本語化を完成させる。また単施設での治療パイロット研究を行ない、多施設共同研究の準備を行う。高知・福井・愛知・福岡の国内4地域で教育委員会・学校を対象として研究フィールドの確立、無作為割り付け・データマネージメントシステムの作成を行い、さらに思春期うつ・不安予防介入の系統的レビューを行う。また研究計画書を洗練させ、研究登録や倫理委員会への研究計画書提出を行い、28年度からの大規模無作為割り付け対照試験(RCT)実施準備を行う。 本研究は予防研究であって治療研究ではないため、病院やクリニックではなく中学校・高等学校等を参加者リクルートのフィールドにする必要がある。そのため今年度は地域の教育委員会における説明・承認をえたのちに各学校を訪問して説明会を開くなど、研究の基盤固めを行う。またそれに伴い、説明資料やSPARXのデモを準備する。 精神疾患の知識が心理・医療職ほど十分ではない、教育委員会職員・学校職員を対象に分かりやすいものを作成する。各地域の分担研究者が教育委員会に連絡し、説明会を開催する。説明会では上記資料を持参して理解しやすいものを行うようにする。主任研究者もできる限り同行し、研究の理解が得られるように最大限の努力を払う。地域における中学・高校も訪問し、教育委員会における説明と同様に研究への理解が得られるよう最大限の努力を測り、特に先行研究の説明にも時間をかける。
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次年度使用額が生じた理由 |
ニュージーランドで開発されたCD-ROM版のSPARXだが、信頼にたるデータ収集と多国籍での使用に耐えうる目的でインターネットブラウザ経由のSPARX-Rへと、2014年に大幅な改訂があった。本研究では昨年度から日本語版の開発を行っているが、改訂が遅れているため、製作費を次年度使用として繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
SPARX-Jの製作には、ニュージーランドのソフトウェア会社への支払い、また日本語吹き替えのための料金等が必要であり、繰越金はこれらの用途に使用する
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