研究課題
ヒトの脳は,視覚,聴覚,触覚など様々な感覚を統合することで,信頼性のある頑健な外界の知覚を得ている。異種感覚を統合する際,脳は各感覚器が受け取る刻一刻と変化する複数の信号の中から,関連する感覚情報を見つけ出す必要がある。その効率的方略の一つと考えられるのが,過去の経験に基づき,あらかじめ結びつける信号を決めておくこと(異種感覚間対応学習)である。本研究では,多感覚間の相互作用がよく観察される観察対象が運動する場面を主に用い,心理物理学的方法と生理心理学的方法を併用して,異種感覚間対応学習のメカニズムを明らかにすることを目的としている。特に,【A】異種感覚間対応学習の成立に関与する要因,【B】その神経基盤および【C】異種感覚間対応学習の一般性について,詳細な分析を行っている。本年度は【B】の神経基盤の解明を中心に据えて研究を進めた。まず一昨年度取得したEEGデータ関して再分析を行い,初期ERPの成分にも学習効果が現れていることを改めて見いだし,学術雑誌に投稿し,掲載された。fMRI-adaptation法を用いた脳画像計測データに関しても,昨年度得たデータを整理し,学術論文として投稿した。【c】の一般性に関しては,運動知覚だけではなく,視覚的な傾きと触覚的位置の間にも12分程度で学習が成立することを見いだした。これは異種感覚間対応学習が知覚システムの共通原理として働いている可能性を高めるものである。この結果については現在投稿準備を進めている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.let.kumamoto-u.ac.jp/ihs/hum/psychology/custom2.html