本研究では、 睡眠中に恐怖記憶が固定される際に、様々な遺伝子カスケード(MAPK, PKAなど)がどのようなタイムコースで活性化されるのかについて解析した。その結果、文脈的恐怖条件づけ直後の睡眠中に海馬でPKAがリン酸化されていることが明らかになったものの、最初の4時間と次の4時間の間に差はなかった。睡眠中の動物で海馬の背側部のPKAのリン酸化を薬理学的に阻害すると恐怖記憶に障害が起こるのに対し、睡眠剥奪動物でPKAを活性化すると、睡眠剥奪による恐怖記憶の阻害が見られず正常に記憶が固定された。さらに睡眠中のPKA産生に果たすsharp wave ripplesの役割について検討を進めた。
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