研究課題
本研究では,意図的動作による視覚的注意の一時的な促進はピーク潜時約500msの急峻な瞳孔拡大をもたらすことを明らかにした。瞳孔拡大は青斑核-ノルアドレナリン系の活動を反映することから、視覚的注意の一時的な促進には神経伝達物質ノルアドレナリンの関与が示唆される。この成果を発展させるために、本年度は視覚的注意の一時的な抑制処理に関わる神経伝達物質の特定を目指した。そのために、神経伝達物質の皮質内濃度を直接計測可能な核磁気共鳴スペクトロスコピーを用いて、視覚的注意の一時的な抑制を反映する注意の瞬き課題の成績と神経伝達物質GABA濃度の個人内相関を実験的に検討した。その結果、注意の瞬き課題に優れている個人のGABA濃度は、前頭前野で高く、後部頭頂野で低いが、視覚野では関係しないことを発見した。この成果は、視覚的注意と神経伝達物質の関係を直接的に示した世界初の研究としてThe Journal of Neuroscienceで誌上発表した。さらに,脳波の時間周波数解析により,運動開始後のベータガンマ帯域の機能について検討を行った。その結果,意思決定後に前頭中心部においてベータガンマのパワーが強く生起するほど,後に一度選択した選択肢を再度選択しやすくなることが明らかとなった。このことからベータガンマパワーは自身が選択した選択肢に対する価値の付与に関連すると考えられる。この成果はScientific reportsで誌上発表した。またそのような価値の付与には報酬系が関わっていると考えられることから,報酬感受性と意思決定による価値の変化との関連を検討したところ報酬感受性が高いほど選択した選択肢に対する価値が上昇することが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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