研究課題/領域番号 |
26285169
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横井 敏郎 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40250401)
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研究分担者 |
坪井 由実 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (50115664)
高橋 寛人 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (10188047)
荒井 文昭 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (40244404)
西村 貴之 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (60533263)
安宅 仁人 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (20513675)
辻村 貴洋 上越教育大学, 学校教育研究科, 講師 (10546790)
篠原 岳司 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20581721)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育行財政 / 教育制度 / 就学保障 / 教育委員会制度 / 早期離学 |
研究実績の概要 |
2014年度は本科研の初年度であり、国内外の基礎的調査を実施し、報告会で事例の意義について検討した。 国外調査では、スウェーデンと北米(カナダ)の早期離学の現状と支援制度の調査を実施した。スウェーデン調査では、ストックホルム市高校教育担当部署、公立高校、株式会社立高校、民衆大学(フォルケヘグスコーレ)、成人教育機関Komvuxなどを訪問し、情報を収集した。ストックホルム市の場合、11-12%の中学生が高校にストレートに進学できず、introductory programに入っていること、高校中退防止プログラムが用意されていること、しかし早期離学していく生徒は25%に上ること、高校中退者(20歳以上)には民衆大学およびKomvuxで単位修得できる制度があることなど、スウェーデンの早期離学の現状と対応策・制度の概要を把握した。カナダ調査は2015年3月下旬に実施されたため、現在記録の整理中である。 国内調査では、包摂的な教育制度・行政の取り組み事例として、政令指定都市(横浜市)における高校生支援活動と地方小規模自治体(長野県南箕輪村・宮田村)の子育て政策の事例を調査し、検討した。前者の神奈川県立田奈高校の有給職業体験プログラム「バイターン」実施プロジェクトは高校教育と進路指導、生活支援の統合的保障として把握できる事例である。後者は教育行政部門と子育て行政部門の統合的な行政活動によって地域の子育て支援が拡充された事例である。教育機関レベルと自治体レベルのいずれにおいても包括的な実践・活動の有効性が確認された。 他に、ニューヨーク市のケースをもとに教育の政治的中立性について、新潟県新潟市・上越市のケースをもとに教育委員会・教育行政専門職員・学校・住民等の関係について論じ、教育委員会制度の今後に関する研究の課題と方法について整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研の調査は大きく国外と国内に分かれるが、国外調査を先行させる計画である。第1年度には北欧のスウェーデンと北米のカナダ調査を実施できた。国内調査も一定の進展を見た。また本研究の2つのアプローチのうち、教育からの排除に対抗する包摂の観点から公教育制度・教育行政システムのあり方を検討するアプローチを先行させて研究を進める計画を立てることもでき、第2年度以降の研究の重点の置き方が明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、教育からの排除に対抗する包摂、および教育と政治(教育委員会と自治体・首長)の2つの観点から公教育制度・教育行政システムのあり方についてアプローチするものである。第2年度はこのうち前者に重点を置き、各国自治体レベルの早期離学対策や若者支援等の包摂的な教育制度・施策について調査研究を進める。国外調査ではフィンランドのヘルシンキ調査を予定しており、デンマークのコペンハーゲンほかを加えるよう検討中である。また国内調査では国内政令指定都市および地方小規模自治体の第1年度の事例調査を継続しつつ、事例を増やして高校中退者やひきこもり、義務教育未修了者等への包摂的な支援制度・活動を調査する。また第3年度にこれらをまとめて成果物とできるよう、今年度に研究の分担や調査等の研究計画について詳細を確定し、全体的な枠組みを再構成することとしたい。後者については、今年度は前者の調査を実施する中でその調査研究の対象や方法を探ることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の国外調査としてフィンランド調査を年度末に実施する計画であったが、調査担当者の本務(大学の勤務)多忙により、実施を見送ったため、その分の金額(約31万円)が残った。それ以外の残額は、2014年度内に執行したが、支払いが翌年度4月となる分である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度にあらためて時期を設定して、フィンランド調査を実施する計画である。
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