研究課題/領域番号 |
26285174
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
駒込 武 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80221977)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 奄美 / 沖縄 / 台湾 / 朝鮮 / 中国 / モンゴル / 教育 / 方言 |
研究実績の概要 |
平成28年度においては、8月22日、11月 26日、2月12日と3回にわたって京都で会合を開いたほか、連携研究者のひとり小川正人が8月20-21日に奄美大島で単独の資料調査をおこない、3月18日~20日には連携研究者の小川正人・鳥山淳・板垣竜太に加えて新たに協力をお願いすることになった渕上晧一郎(岩波書店学術書編集部)とともに奄美大島教育会館において奄美教職員組合関係の資料の整理を進めた。 上述の研究会を通じて、明らかになったことは以下の通りである、奄美諸島、沖縄諸島、台湾、中国内モンゴル自治区などにおいて1940年代後半から50年代にかけて政治的な自治、自己決定権を求める動きが一定の高まりを見せたこと、その際に、「わたしたちの言語」」をいかに表記し、記述するかという問題が重要な位置を示したことである。書き言葉とは「標準語」であり話し言葉とは「方言」であるという一般的区分を越えて、それまで「方言」とされてきた地域の言葉を書き言葉としていかに表記していくかという問題が、それぞれの地域により断る表れ方をしながらも、共通した問題であることが確認された。さらに、同時代の朝鮮民主主義人民共和国における金壽卿の朝鮮語研究、同時代の日本本土における国分一太郎ら生活綴方運動関係者による日本語教育論との共通点と相違点をどのように整理していくかということが今後の課題として浮かび上がった。その際、民衆の「話し言葉」としての方言を土台としながら、これを出版語として組み立て、さらにofficialな言語の変革につなげるという見通しを持てるか否かが、それぞれの集団における「自治」志向とのかかわりにおいて重要な意味をもつことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の一部を資料集として刊行すべく、その編纂作業を進めている。 今年度においては、渕上晧一郎(岩波書店学術書編集部)にも奄美調査に加わってもらうことにより、具体的にどのような資料をどのような形で構成するのかについて、具体的なイメージを共有することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も奄美大島教育会館所蔵の奄美教職員組合関係の資料の整理・調査を進め。これを核として共有しながら、研究代表者と連携研究者がそれぞれの担当する地域について資料集の刊行の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度において、京都における会合を5月にも開催する予定だったが、研究代表者が体調を崩して開催できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度において、京都での会合を3回ではなく、4回とする。
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