研究課題/領域番号 |
26285176
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
溝邊 和成 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (30379862)
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研究分担者 |
吉津 晶子 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (60350568)
矢野 真 京都女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00369472)
田爪 宏二 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20310865)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多世代交流 / 互恵性 / 教科準拠型 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究は、国内外の事例分析と試行的実践により「互恵性に基づく教科準拠型多世代交流プログラム」の開発を目的としている。本年度は、その1年目として情報収集を主として研究を手がけ、その成果として以下のものが得られた。 論文・学会発表においては、溝邊和成・田爪宏二・吉津晶子・矢野真「小中学校の聴講生制度に見られる世代間交流」(投稿中)、吉津晶子・溝邊和成「世代間交流の教育的意義に関する研究の動向と課題」(投稿中)とともに日本世代間交流学会(10月)のポスター発表部門で、溝邊和成・田爪宏二・吉津晶子・矢野真「聴講生制度実施校の生徒からみた世代間交流」、矢野真・田爪宏二・吉津晶子・溝邊和成「保育者養成における交流をテーマとした造形活動」の2点を行った。ラウンドテーブルでは、タイトルを「教科教育にかかわる互恵的な世代間交流の展望」として、参加者との交流の中から「互恵的な世代間交流」について情報交換を行った。また、Generations United(2015,Hawaii,USA)で、本年度得られた内容をもとに、ポスターやワークショップでの発表を予定している。 現地視察は、Intergenerational school(USA)をはじめ、レミダ・クリエイティブ・リース・センター(イタリア)や福岡県那珂川町の聴講生制度実施校、相馬市総合福祉センターはまなす館、奈良市音声館、京都教育大学附属校等を対象として実施された。また、文献資料等調査では、現地調査の諸資料に加え、聴講生制度やシニアスクール実施校、「えんがわプロジェクト」(柏市)、和歌山県海南市、せたがやeカレッジ、ちくしの高年大学世代間交流「夏休み工作教室」、昔の遊びや工作指導(徳島市シルバー人材センター)などにかかわる資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の推進にあたって、コアとなる研究組織はすぐに立ち上がり、学会等での発表に加え、定期的に会合をもって進めることができたものの、研究計画上でやや遅れているとした。その理由と本年度末時点の現状は、以下の通りである。 まず、1点目として、コアメンバー内で研究内容(細部)の共通理解がやや遅れたことが挙げられる。これは、研究フレームとしてとらえた「教科準拠型」「多世代交流」「互恵性」に対して吟味し直す機会としては、有効であったとも言えるが、進行の面で多少影響があったと考えている。しかし、本年度の後半では、開発のモデルイメージを共有し、世代間から異年齢の幅広い年齢層を対象に学校と地域のシームレス化やインフォーマルとフォーマルの学びの往還などに帰着した取り組みも含む点で了解されるに至った。 2点目は、情報収集を主とした点で、実際のフィールドの設定や次年度につながる具体的なプログラム構想に至らなかった点が挙げられる。1点目と関連して、いくつか特徴的な情報収集は行われたものの、プログラム試案を策定し、具体的に実施するフィールドを確定するところまで進まなかったことをその理由と考えている。当初の目標とは異なったものの、本年度末には、研究フィールドの候補が挙がってきており、来年度早々には、次の段階へ進むことが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では、基本的には当初の研究の流れに準じて行うが、より着実に研究を推進させるための方策として、次の点を心がける。 1 研究フィールドの早期確定:次年度の早期にプログラム試案を実施する核となるフィールドを確定する。これによって、具体的なプログラム試案の調整が図られやすくなり、研究同人の共通意識の下で調査の準備作業も進むと考えている。また、実際のプログラムの試案作成と実施も早期に行うことができ、データの分析・考察も下半期に余裕を持って行える見通しである。 2 情報収集の継続:昨年までの資料収集に加え、次年度も「教科内容に準拠する世代間交流事業」に関するバリエーションを検討することを主として国内外の調査を継続させる。国外調査の連絡調整においては、国際学会での参加を効果的に活用し、国内調査においては、前年度の継続とともに部分的拡張を図る。 3 研究協力体制を拡充する:上記1および2の推進に伴い、様々な協力関係が成立することが予測される。そのメンバー等の整理とともに本研究の推進体制として、確かな協力関係を継続するように定期的なミーティングを設定し、常に進捗状況を把握できるようにする。 以上により、次年度のプログラムの完成とその検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究では、国内外の調査を主としていたことから、旅費としての使用が比較的多かった。また、その研究準備としての物品等の購入が予定され、その使用がなされた。人件費、謝金については、プログラムの試作およびその活用等にかかわる費用として計上していたが、本年度では、プログラム作成に着手しなかったため、人件費や謝金が発生しなかった。次年度においては、国内外の基礎調査とともに学会等の発表に伴う旅費と合わせて、フィールドを活用したプログラムの実施にまつわる諸費用が発生する点から、物品費や人件費・謝金の計上が必要となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の使用については、以下のように計画している。まず、1点目は、研究フィールドを確定し、プログラムの実行に関する諸費用に充当することである。次年度では、実際のフィールドにおいてプログラムを稼働させ、その効果等について研究調査を行うことをメインとしているため、調査のための交通費をはじめ、プログラム実施に伴う消耗品の購入(造形、音楽、科学の各分野に必要な消耗品)、研究協力体制の推進に必要な人件費・謝金を予定している。2、3点目は、本年度に引き続く国内外の調査への予算計上と、研究成果報告として国内外の学会発表等を予定し、その費用としての活用を考えている。
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