研究課題/領域番号 |
26285189
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰浩 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60193471)
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研究分担者 |
阿曽沼 明裕 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80261759)
村澤 昌崇 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (00284224)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高等教育 / アメリカ合衆国 / 州 / 公立高等教育 / 機能分化 / 階層性 / 政策 / 研究大学 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、1)州間比較によっての州の高等教育機関の機能分化のパターン調査、2)機能分化が形成されたプロセスの歴史学的な比較分析、3)研究大学の規模や組織構成、専門分野構成など構造の数量的な比較分析、の3点をおこなった。 まず1)について、本年度は、米国カリフォルニア州のカリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学システム理事会、カリフォルニア州議会、カリフォルニア大学デービス校を訪問し、カリフォルニア大学とカリフォルニア州立大学の違いとその違いに対して州政府がどのように影響を及ぼしているのかを調査した。また、米国の個別大学データベースIPEDSを使って、カリフォルニア大学とカリフォルニア州立大学の違いについて検討し論文にした。 2)については、戦間期までのアメリカ高等教育システムの変化を歴史的にたどるとともに、州毎の公立高等教育システムの形成過程の検討の予備的な考察として、先行研究の検討および戦間期高等教育の特性等についての検討をおこない論文を公刊したとともに、州高等教育システムに関する歴史的データベース構築をさらに進めた。 そして3)については今年度は、アメリカの大学との比較可能性を念頭に、日本で行われた大学組織・ガバナンス・成果に関するアンケート調査分析に従事した。その成果は、日本高等教育学会第19回一般発表、13th International Workshop on Higher Education Reform (Dublin, September, 7-9, 2016)、高等教育研究開発センター2016年度公開セミナー、第44回広島大学高等教育研究開発センター研究員集会にて報告・発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでにアメリカの州高等教育システムについて相当の範囲に関する調査がすすんでいるとともに、歴史分析や計量分析の基礎となる準備もできあがっており、十分に成果がでていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度にあたるため、上述の3つの研究課題(1州間比較によっての州の高等教育機関の機能分化のパターン調査、2機能分化が形成されたプロセスの歴史学的な比較分析、3研究大学の規模や組織構成、専門分野構成など構造の数量的な比較分析)のそれぞれについてつぎのような研究を予定している。 1)本年度は米国の南部の州への訪問調査を行うと同時に、これまで行った訪問調査の結果と個別大学データベースIPEDSを利用し、十数の州における研究大学と非研究大学の違いに州がどのような役割を果すのかを検討し、報告書を作成する。 2)歴史分析をさらにすすめ、戦間期から戦後初期にかけての州立高等教育システムの形成過程を明らかにするとともに、州立高等教育システムに関する歴史統計データベースを完成させる。 3)これまでデータ整備を土台として、アメリカカーネギー財団が公表している大学分類データを分析し、各大学がなぜそのような大学分類に「分類される」の要因分析を行う。成果は広島大学高等教育研究開発センター刊の「ディスカッションペーパーシリーズ」に寄稿予定である。 4)以上を踏まえた総合的な考察をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が今年度より部局の管理職(評議員、副研究科長)になったことなどにより、予定の回数の海外調査に出かけられなかったことが大きな理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の前半期に調査にでかけることにより、早期に調査データを集め、後半期に全体のとりまとめの作業のための十分な時間を取る予定である。
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