本研究の最終ステージとして、以下の項目を中心とする活動(①~⑤)を展開し、より統括的なメタ認知と学習熟達モデルの完成度を高めると共に、国内外において本研究課題の認知的・教育的意義の啓蒙活動と研究成果の発表を行い、更に社会への還元につながる活動を展開した。諸活動を通して、十代以降の当該青年の多様な社会参加形態を創生することの妥当性と必要性が判明し、今後の発展課題につながる成果を得た。 ①空間的・演算的志向に基づく西洋的記譜法の読みに課される視空間認知負荷と演算負荷を排除し、線型的・非演算志向の新記譜法に基づくソルフェージュ指導書の試作品を完成した。これにより、視空間認知と演算能力に障害をもつディスムージア児者の学びへの挑戦域を拡げた。 ②主に十代以降のウィリアムズ症候群青年を対象に日本文化固有の言語アートを基盤とする言語活動を続行し、既に提唱されている8つの多重知能の細分化の必要性と妥当性を精査した。本言語活動は、知的障害児者の新しい挑戦の場としての位置づけることができ、続行することの意義は大きい。 ③海外における還元活動の一環として、ウィリアムズ症候群協会主催バイアニュアルナショナルコンベンション2018(開催地:米国ボルチモア)において、保護者と教育関係者を対象とする教育セッションを提供し、上記①と②のプレゼンを行った。 ④音韻性ディスレクシアのデータ分析から、韻律構造再編のプロセスと音節の構造を仮説として提唱したあと、その妥当性を調音音声学と進化論の視点から検証し、理論化した。本成果はフランスにて情報工学分野の専門家と大学院生を対象に講義を行った。 ⑤米国カリフォルニア州立大学にて学生を対象とする講義を行い、本研究の統括的な成果を伝達すると共に、次世代の教育を担う青年への啓蒙とした。
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