研究課題
[Mo132O372(CH3COO)30(H2O)72]42-(以下{Mo132}と表記する)のアンモニウム塩の湿度応答構造変化を再現性良く追跡する手法を確立した。その手法を用いて、高エネルギー加速器研究機構の放射光科学実験施設を利用した単結晶X線回折実験により、格子定数の変化が繰り返し起きることを確認した。さらに、ポリ酸イオンの構成元素依存性を検証するために合成した、{Mo132}のモリブデン原子の一部をタングステン原子で置換した化合物について、紫外可視吸収スペクトルおよび赤外吸収スペクトルを測定した。それぞれの極大吸収波長が連続的に変化することを見出し、{Mo132}中のモリブデン原子は連続的にタングステン原子に置換されると結論付けた。また、紫外可視吸収スペクトルの吸収極大波長の変化率が、タングステン置換率が低い時と高い時とで異なることを見出した。タングステン導入初期過程において、タングステン原子が特定のサイトに導入されることが原因であると考えられる。また、結晶化条件の詳細を検討する前提となる情報を得るために、ナノサイズ球状ポリ酸{Mo132}の溶液内での安定性を解明すべく、{Mo132}アンモニウム塩水溶液の分解過程の追跡を引き続き行った。昨年度の研究において、{Mo132}よりもひとまわり小さな102個のモリブデン原子からなる球状ポリ酸に、内部から[MoO4]2-イオンが配位した化合物が生成することを見出していたが、さらにその異性体2種が生成していることを確認し、単結晶構造解析に成功した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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