モリブデン132原子などからなるナノサイズ球状ポリ酸は、分子貯蔵材料や触媒として注目を集めている化合物である。その結晶の可逆的な水の吸収・放出現象を明らかにした本研究は、この化合物の分子貯蔵材料としての機能発現機構の解明に資するとともに、機能向上の方針を与えるものとなる。また、溶液中での安定性を解明した成果は、注目を集めていながら未だに性質が詳らかになっていないこの化合物が、本質的に不安定なものであることを明らかにしたという学術的意義がある上に、この化合物を触媒として用いる際の条件設定に対して重要な情報を与えるものである。
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