研究実績の概要 |
平成28年度は、二硫化モリブデンと二硫化タングステンをコール酸ナトリウム存在下、ボールミリングによりはく離し、それらのナノシートを固体で得ることに成功した。また、それらナノシートは長期にわたって安定に保存可能であり、必要な時に必要量を取り出し、簡単に水に分散させ、安定なかつ高濃度の水分散液を得ることができた。水分散前の保存可能な固体を"stock solid"を命名した。この成果について、以下の論文を発表し、雑誌の表紙でも紹介された。
G. Liu, N. Komatsu* "Readily available "stock solid" of MoS2 and WS2 nanosheets through solid phase exfoliation for highly concentrated dispersion in water" ChemNanoMat, 2 (6), 500 - 503 (2016) [highlighted at the front cover and spotlights on our sister journals in Angew. Chem. Int. Ed., 35 (33), 9467 (2016)].
グラフェンの層数に基づく分離に関しては、いくつかの分子ノギス(ノギス型のホスト分子)を用いて、その層数選択的な錯形成と抽出を目指して検討を行なったが、抽出後のナノシートの層数の決定を確立することができず、信頼できる結果を得ることができなかった。具体的には、ラマンスペクトルや原子間力顕微鏡(AFM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などにより抽出された2次元ナノシートを分析したが、定性的な評価にとどまり、具体的に層数を決定するには至らなかった。
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