研究課題
本研究は、基礎学術分野から産業・医療に至る幅広い分野での活用が期待されているテラヘルツ電磁波のエバネッセント光をナノスケールで空間制御する新しい技術の開発を行う。さらにこのイメージング技術を基にした新たなナノ電子物性研究の開拓と実証を行う。テラヘルツ帯の光子エネルギー(meV)は、様々な固体中電子や格子の励起エネルギー、高分子の振動や分子間相互作用に対応する重要な領域である。テラヘルツ計測の物性研究応用は大変興味深いにもかかわらず、光源や検出器といった基本素子すら確立されていないため、テラヘルツ物性研究も発展途上である。本研究によるエバネッセント光制御技術から、これまで波長の長さゆえに困難であった、テラヘルツナノ画像計測による物性研究を目的とする。昨年度に引き続き、シリコン構造に基づく近接場テラヘルツ増強効果を研究した。昨年度の素子作製の過程を見直し、より加工精度の高い素子の作製が可能となった。テラヘルツ時間分解計測から、プラズモン特有の時間ダイナミクスを観測した。また、プラズモニック構造ありとなしで比較して130万倍ものテラヘルツ電界増強を達成した。これはシリコンの高い誘電率に起因する強いテラヘルツ電界閉じ込めが起因していると考えられる。また、透過スペクトル測定から、共鳴周波数の高次(2次、3次)の応答も観測した。さらに、周波数が固定される従来の構造とは異なり、任意の周波数を設定できる新たな構造を提案した。
2: おおむね順調に進展している
素子作製の過程を見直すことで、明確な検証実験が可能となった。結果的に、局所的なテラヘルツ電界増強が130万倍もの値に達することを見出した。これは大きな進展であり、次年度の研究へのスムーズな展開につながる。
要素技術はほぼ出揃ったため、素子の応用研究に注力しできるだけ多くの応用例を示していく。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 8件、 招待講演 8件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)
応用物理
巻: 85 ページ: 428-432
IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology
巻: in press ページ: in press
ACS Nano
巻: 9 ページ: 11618-11627
10.1021/acsnano.5b06160
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 84 ページ: 121010-1-9
10.7566/JPSJ.84.121010
巻: 84 ページ: 643-647