研究課題
昨年度までにカーボンナノチューブの近赤外発光の特性の制御を目的に、二段階還元的アルキル化反応により、近赤外領域に新たな発光が生じること、アルキル化カーボンナノチューブを嫌気下で熱処理すると付加基の脱離がおこり化学修飾率を制御することができること、熱処理によりアルキル化カーボンナノチューブの化学修飾率を最適化すると、新たに生じる発光の効率を向上できることを見出している。一段階の還元的アルキル化反応を行ったところ、2つの新たな近赤外発光が生じた。これは付加基の構造には依存しなかった。そこで、反応活性点を1つあるいは2つ有する反応試薬を用いてアルキル化カーボンナノチューブを合成した。これらのアルキル化カーボンナノチューブを分析したところ、カーボンナノチューブ上の付加基同士が近傍に位置する場合にストークスシフトの大きな発光が発現することを支持する結果が示された。さらに、ストークスシフトの程度は新たに生じた発光の寿命とその波長を励起波長とするup conversion発光の効率に大きく影響することを明らかにした。アルキル化カーボンナノチューブの熱処理による脱離反応について、付加基の構造によって脱離反応のおこりやすさが異なること、脱離反応前の化学修飾率の違いが脱離反応後の発光特性に大きく影響することを明らかにした。光酸化したカーボンナノチューブについて、光反応時間に応じて発光効率を制御できることを明らかにした。また、光酸化したカーボンナノチューブについて熱処理による化学修飾率制御を検討した。酸化の程度が低い場合には酸素原子が脱離しやすく、熱処理が発光特性の制御に有効であることが示された。一方酸化の程度が大きい場合には熱処理により分解が進行し、カーボンナノチューブの発光特性の制御には不適であることがわかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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