研究課題
1)サブナノメーター径の電子らせん波の伝播過程の観察:磁性針をもちいた擬似的磁気単極子による電子らせん波の生成を試みた。電子線ホログラフィー実験により磁性針を通過した電子線に位相特異点が形成されることを確認し、磁性針を収束絞り位置に導入した。生成した電子波をレンズで収束したところ、クロスオーバー前後でらせん波に特徴的なGouy位相シフトによる強度分布の回転挙動がみられ、軌道角運動量を有していることが確認された。ただし磁性針により電子線強度の一部が欠落されるため完全なドーナツ状の電子らせん波の形成には至らなかった。2)多数の位相特異点を含む電子ビームの生成:収束絞り位置に回転対称ピンホールや多角形スリットを導入し、複数の位相特異点をもつ電子波の生成を行った。これらの方法では伝播中にビーム断面の強度分布が変化しない、いわゆるnondiffractiveな電子ビームが形成されることが確かめられた。試料による不均一磁場の影響を検証するため、装置に付随した磁気4重極子による強度分布の変化を観察し、印加した不均一磁場がビーム強度をもちいた位相回復により再生されることを確認した。3)磁気スキルミオンとの相互作用の観察:低温でらせん磁性およびスキルミオンを形成するFeGe試料に電子らせん波を照射し、電子らせん波の磁気モーメントおよびビームトルクがスキルミオンの生成および消滅に及ぼす影響を検証した。試料を液体窒素温度まで冷却し、弱い磁場を印加してらせん磁性およびスキルミオンを形成する直前の臨界状態として、フォーク型回折格子および磁性針により生成した電子らせん波を照射した。しかしながら、いずれの場合でも電子らせん波によるスキルミオンの生成および消滅は観察できなかった。原因としては、今回生成した電子らせん波の強度が十分に高くなく、磁気モーメントおよびトルクが十分に高くないためと考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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