光を利用したCO2還元は、半導体や錯体に光吸収をさせることでキャリアを生成し、そのキャリアによって還元反応を誘起する手法が広く研究されている。この中で、より長波長側に吸収端を持つ材料の探索が行われているが、光触媒効果を利用した従来の太陽光エネルギー利用技術は、材料の吸収帯域の光を用いたエネルギー下方変換技術であり、吸収端よりも長波長の光は無駄となっている。 本研究ではこの無駄となっている光を有効活用するために、近接場光の非一様光場の利用する。非一様光場を考えることで、双極子近似に基づく従前の光応答では不可能であった光学禁制遷移励起、二次高調波発生が可能となるため、CO2還元に可視光~赤外光の長波長の光が利用可能となる。 CO2を還元するには、極端紫外光が必要となるが、近年可視光に吸収端を持ちさらに、CO2の還元のために高効率に電子のやり取りが可能なRu-Re錯体が注目されている。本年度は、CO2還元に必須となる錯体の吸収スペクトルの長波長化について検討を行った。 近接場光源としてZnOナノ微結晶を利用した。ZnOナノ微結晶の表面性を制御することで、錯体の吸収スペクトルの変化を観測した。錯体には、レニウム錯体を利用し、これをZnOに吸着させることで、レニウム錯体の吸収端の変化を観察した。その結果、より近接場光の発生効率が高い、ZnOナノ微結晶に吸着させたレニウム錯体において、拡散反射スペクトルの長波長化を確認することに成功した。今後、ナノ構造の密度、形状を最適化することで、さらなる長波長光の利用が可能になると期待される。
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