研究課題
NVCは、外部から静磁場を印加した状態では、N-V結合方向と静磁場となす角度に依存して、磁気共鳴が起こる高周波の周波数が変化する性質がある。すなわち、N-V結合方向と外部静磁場とのなす角度によって、照射する高周波の周波数による蛍光強度変化のパターン(ODMRスペクトルという)が変化する。したがって外部静磁場の向きを固定した場合、スペクトルの形の変化は、ダイヤモンド粒子の動きを反映することになる。4つの異なる向きの外部磁場を印可し、得られたODMRスペクトルを解析することで、ダイヤモンドナノ粒子の角度を決定することができる装置及びプログラムを開発した。このシステムを使ってクラミドモナスの軸糸のATP依存的な微小振動の観察を試みた。まず、軸糸にダイヤモンドナノ粒子を非特異的に吸着させODMRスペクトルを測定し、微小振動の検出を試みたが、検出されなかった。ダイヤモンドナノ粒子を特異的に結合させることが重要なのではないかと考え、ビオチン化配列を持つ変異タンパク質を構成要素とする軸糸を用いることにした。また、ダイヤモンド表面のビオチン化修飾を行った。これらの試料を用いて、ストレプトアビジンを介してビオチン化ダイヤモンドナノ粒子を特異的に軸糸に結合させODMRスペクトルを測定し、微小振動の検出を試みた。これまでの実験では微小振動の観察はできていないが、今後回転・ひずみ運動が伴っているか明らかにすることが期待できる。
2: おおむね順調に進展している
計画通り4つの異なる向きの外部磁場を印可し、得られたODMRスペクトルを解析することで、ダイヤモンドナノ粒子の角度を決定することができる装置及びプログラムの開発は終了し、クラミドモナスの軸糸の微小振動の観察実験に着手した。
今年度も継続してクラミドモナス鞭毛軸糸の微小振動の検出実験を行う。また、2つめの実験として計画した、筋肉タンパク質であるミオシン分子のATP加水分解に伴う動きの計測実験の準備をはじめる。
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