研究課題
本年度は、3次元マイクロ流路デバイスの作製と自己支持性高分子ナノ薄膜の調製・微細加工・物性評価を主に検討した。3次元マイクロ流路デバイスに関しては、ポーラス膜で上層流路と下層流路が隔てられた2層式の流路デバイスを作製し、細胞導入や潅流操作等が問題なく行えることを確認した。さらに、血液内に網膜保護作用のある液性因子の存在が疑われていることから、培地に加え、血漿、全血の潅流を検討したところ、血漿であれば、24時間以上マイクロ流路内を潅流させることができることがわかった。今後、細胞培養下で合成培地および血漿による潅流培養の結果を比較することで、新たな液性因子の存在を示唆できる可能性がある。また、将来的にマイクロ流路デバイスに組み込む細胞への力学刺激負荷機構として、バルジ試験機構を検討した。ポリスチレン等の薄膜とそれに圧力を負荷する流路構造からなるデバイスを作製し、薄膜に圧を負荷することで薄膜を変形させた。この薄膜上で細胞を培養してから圧を加えることで、細胞の力学応答を容易に評価できると期待される。自己支持性高分子ナノ薄膜に関しては、スピンコートとスタンプ法あるいはステンシル法を組み合わせることで、数百マイクロからミリメートル径のナノ薄膜を作製することができた。ナノ薄膜の視認性向上のために、磁性微粒子を混合させたナノ薄膜も作製したが、磁性微粒子の有無で平均膜厚に変化はほとんど見られなかった。また、ナノ薄膜直径の半分の径の注射針等の細管でナノ薄膜の吸引・射出が可能であり、射出後もナノ薄膜が元の形状に戻ることを確認した。今後、このナノ薄膜を細胞の移植担体として用いることで、網膜下等の狭小な空間への細胞送達が期待できる。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り研究が進行しているため。
大幅な研究計画の変更は考えておらず、当初の計画に沿って、眼底組織を模倣するオーガンチップデバイスと自己支持性高分子ナノ薄膜を用いる細胞デリバリーを相互に関連付けながら研究を遂行する。
分担者の旅行計画に変更があったため。
次年度の旅行計画を変更予定であり、その分の支出に充てる。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
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