研究課題
本年度は、初年度に作製した3次元マイクロ流路デバイスを用いて、網膜色素上皮(RPE)細胞と血管内皮細胞(HUVEC)の共培養を行い、培養環境制御下で両細胞種間の相互作用を検討した。マイクロ流路デバイス内に設置したポーラス膜の上下にRPE細胞とHUVECをそれぞれ培養し、HUVECの遊走性、およびRPE層の崩壊度を調査した。コントロール条件下でもHUVECがRPE細胞側に遊走し、当該領域でのRPE層の崩壊が観察されたが、RPE細胞に低グルコース負荷を与えると、RPE細胞側に遊走するHUVEC数が増加し、対応してRPE層の崩壊面積も増加した。さらに、低グルコース負荷に加えてCoCl2による擬似低酸素負荷を与えると、両指標ともさらなる増加が観察された。これは、低グルコース負荷、擬似低酸素負荷に対してRPE細胞が応答して血管内皮成長因子(VEGF)の分泌量が上昇し、それに対応してHUVECがRPE細胞側に遊走してRPE層を崩壊させたと考えられる。今後、3次元培養したHUVECを用いることで、脈絡膜新生血管モデルへの展開が期待できる。細胞担持ナノ薄膜の回収法に関しては、昨年度に平板電極上でL-システインの自己組織化単分子膜(SAM)の還元脱離を検討したが、本年度は電極基板にポーラス膜を利用することで、センチメートルレベルの細胞担持ナノ薄膜を1分程度で電極基板から脱着可能なことを示した。さらに、回収したRPE細胞担持ナノ薄膜のラット眼球内への送達を検討したところ、キャピラリーニードルで網膜下に射出することで、当該領域で展開していることが確認された。今後、病態モデル動物を用いた治療効果の検証が期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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