研究課題/領域番号 |
26286034
|
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
式田 光宏 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (80273291)
|
研究分担者 |
川部 勤 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20378219)
溝尻 瑞枝 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70586594)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / 知能機械 / 医療・福祉 |
研究実績の概要 |
本研究では,現代医学で未解明の領域とされている末梢気道(別名,サイレントゾーン)での呼気吸気特性を解明することを目的として,世界に先駆けて末梢気道でのその場計測評価技術を目指した.具体的に,今年度はカテーテル型気流センサの開発を中心に,以下の研究課題を克服した. (1) カテーテル気流センサの更なる改良及び新方式の実現 ① 熱線流速計方式カテーテル気流センサ(現行方式の高精度化):本テーマでは,熱線流速計方式気流センサの更なる高性能化(高速応答)を目指した.熱線流速計方式では検出部となるヒータ周辺部の熱容量の大きさでセンサの応答性,すなわち時間分解能が決まる.そこで本テーマでは,ヒータ検出部での熱容量の低減を図り,センサの時間分解能を極限まで追及した.具体的には,ヒータ下部における樹脂フィルムの薄膜化を検討するとともに,ヒータ下部空間の真空化を検討した.その結果,これらによりセンサの応答性を100 ms以下にできることを確認した.また,本センサを用いた簡易呼吸診断手法を新たに検討した(別応用). ② 機械式歪ゲージ方式カテーテル気流センサ:本テーマでは,歪ゲージを検出原理に用いた機械式気流センサを外径2.0 mmという限られたカテーテル構造内に実現することが可能か否かを文献を中心に検討した. (2) 動物実験による実証:本テーマでは,上記カテーテルセンサのデバイス・システム開発と併行して,試作デバイスによる動物実験を行い,本計測手法の有用性を実証する医学的データを蓄積した.具体的には,上記平成26年度開発にて改良試作した気流センサで,ラット,マウスの呼気吸気特性を直接的に計測し,本開発センサで上記小動物の呼気吸気特性が評価できることを確認した.また,カテーテルセンサを動物気管内へ埋め込むことが可能であることも併せて確認した.なお,実験は動物実験の設備が整っている名古屋大学医学部にて実施した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書記載の研究計画に従い,本年度は,(1) カテーテル気流センサの更なる改良及び新方式の実現,(2) 動物実験による実証の二つの研究課題の克服に挑んだ結果,(1)に関しては,ヒータ下部における樹脂フィルムの薄膜化を検討するとともに,ヒータ下部空間の真空化を検討することで,センサの高速応答化に成功した.また(2)に関しては,改良試作した気流センサで,ラット,マウスの呼気吸気特性を直接的に計測し,本開発センサで上記小動物の呼気吸気特性が評価できることを確認した.以上の結果より,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
今後については,当初の予定通り,下記の研究課題を解決する予定である. (1) カテーテル気流センサの更なる改良及び新方式の実現:本テーマでは,平成26年度課題を引き続きセンサの高性能化を図る.具体的には,前者に関しては熱線流速計方式気流センサの更なる高性能化を検討する.後者に関しては,新たに歪ゲージを検出原理に用いた機械式気流センサの可能性を検討する. (2) カテーテルセンサのシステム化技術の開発:本テーマでは,気管支内でのカテーテル気流センサの位置情報の把握,及びその場観察の実現を目的として,気流センサのシステム化技術を開発する.具体的には,気管支内におけるカテーテルセンサの位置決め固定方法に関しては,バルーンアクチュエータ,もしくはアンカー構造(医用器具として実績のあるバスケット鉗子形態を予定)を検討する.また,気管支内におけるその場計測に関しては,カテーテル気流センサとファイバースコープとの併用方法を検討する予定である. (3) 動物実験による実証:本テーマでは,平成26年度課題を引き続き上記カテーテルセンサのデバイス・システム開発と併行して,試作デバイスによる動物実験を行い,本計測手法の有用性を実証する医学的データを蓄積する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度予算して,当初,物品費2,000千円,旅費1,100千円,その他200千円を計上し,予算の6割を物品費(消耗品費)に充てていた.消耗品の内,ホトマスク等を仕様に応じて安価な発注先を選定したために,消耗品支出を抑えることが可能となり,その結果,残余金(658,904円)を次年度の実験経費に充てることが可能になった.
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度残余金(658,904円)に関しては,平成27年度予算の物品費に充てる予定である.具体的には,カテーテル気流センサ開発費(カテーテル気流センサ作製に必要となる金属ターゲット費など)に充当する.
|