研究実績の概要 |
EB描画装置を用いて作製した微細素子の作製技術の開発とスピン伝導解析を行い、半導体Siのチャネル長を短くするとスピン信号が増大することを確認した。昨年度は、チャネル上に設けた疑似Gate酸化膜にスパッタで作製したSiOxを用いたが、欠陥およびラフネスの増大により、スピン信号に悪影響を及ぼすことが明らかとなったため、今年度は、熱酸化SiO2を疑似Gate酸化膜として採用した新しいプロセスを開発した。その結果、磁性層間Gap長が200 nmまでスピン信号強度が単調増加する振る舞いが観測された。また、ソース/ドレイン部の界面平坦性向上と、Si(2×1)清浄表面出しの最適条件出し、および、ハーフメタル・ホイスラ合金材料Co2FeSi強磁性電極成膜条件を最適化することにより、スピン緩和法(4端子Hanle評価)において、室温で40%を超える半導体Siへのスピン注入効率の実現を実証した。 Co2Fe(Al,Si)フルホイスラー合金からGaAs半導体へのスピン注入について、素子の電極/半導体界面構造の観察を行った。熱処理温度400℃まで、エピタキシャル成長し平坦な界面構造を有していることを確認した。また、400℃ではGaが電極層まで拡散していることを確認した。界面近傍のCo2Fe(Al,Si)フルホイスラー合金はすべての熱処理温度で作製した試料でL21構造を有していた。このことから、スピン信号の熱処理温度依存性を検討した結果、Co2Fe(Al,Si)フルホイスラー合金の規則度の他に、電気伝導の整流特性がスピン信号に関係していることが分かった。 半導体上に低抵抗な強磁性トンネル接合を作製した。比抵抗10オーム・マイクロm2、磁気抵抗比248%の特性を得た。
|