研究課題
平成28年度の研究では、最終年度の目標「革新的性能を有するフレキシブル論理回路の実現」に向け、昨年度に引き続き、フレキシブル基板上でのデバイス性能評価・改善を実施した。これまで、フレキシブル基板上では、電極蒸着時の基板温度の制御によって接触抵抗を低減可能である事を明らかにしてきた。今年度は、電極蒸着の蒸着速度によって、接触抵抗が変化することを見出した。これまでに、電極とするAu蒸着領域では、Au微粒子が有機薄膜中に侵入し、分子結晶構造を乱していることが明らかになっていたが、このAu微粒子の膜中への侵入を、Au蒸着条件によっても制御可能である事が示唆された。最終年度となる今年度、「革新的性能を有するフレキシブル論理回路の実現」に向け、低電圧で駆動可能な有機トランジスタ回路の開発にも成功し、論文として成果を報告した。今日、低コスト印刷製造が可能な有機トランジスタは、Internet of Things技術に資するセンサデバイスへの応用が期待されており、バッテリー駆動可能な低電圧・低消費電力駆動デバイス実現に向けて開発が進んでいる。本研究では、生体適合性の高いパリレン絶縁膜を20nm以下に薄膜化する技術を新たに開発し、リチウムイオン電池で駆動可能な僅か2Vで動作する有機トランジスタ回路を実現した。開発した技術を用いて、リングオシレータ回路や、種々のセンサデバイスへの応用が可能な微小電圧増幅回路(PseudoCMOS回路)の動作実証に成功した。また、開発したプロセスは、7×7平方cm基板上の360個のトランジスタにおいて、97%という高い歩留まりで作製可能な信頼性の高いプロセスであった。更に、PseudoCMOS回路において、電圧増幅性能を示すDCゲインとして、2V駆動で1950を記録する世界最大のゲインを達成しており、従来よりも一桁高い電圧増幅性能を示す回路の動作に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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