研究課題
スピントロニクスの新展開としてキャリア輸送型スピン流を用いた論理演算素子創製のための研究を次の3段階で行った。研究項目1)伝送線路を用いたスピンポンピングにより半導体材料のスピン輸送を実証。項目2)スピン流の外場によるスイッチング。項目3)スピン流を用いた論理演算素子の創製を目指し、NAND演算回路の作製および演算実証。本研究ではスピン輸送の材料として、3種類用いた。一つは100 nm以上のスピン輸送が可能で、かつゲート電圧印加でスピン流のスイッチングが期待できるシリコン(Si)を、2つ目は環境温度制御によりスピン流スイッチングが期待できる遷移金属化合物VO2を、3つ目は光制御によりスピン流スイッチングが期待できるペンタセン分子膜を用いた。項目1)について、伝送線路と電磁石によって強磁性共鳴を誘起し、それによるスピンポンピングを用いたスピン輸送実験の装置を本経費で構築した。この装置および対照実験用にESR装置を用いたスピンポンピング実験により、p型Siおよびペンタセン分子膜の室温スピン輸送を達成した。VO2については強磁性共鳴特性によりスピン輸送の可否を判断し、VO2においてもスピン輸送と見られる特性の観測に成功した。項目2)に関し、Siについてはゲート電圧印加によってスピン流のスイッチングを目指した。VO2については起電力の環境温度変化による可逆変化特性を観測した。ペンタセンについては、光照射によってキャリア濃度を制御した。項目3)に関し、NAND演算素子のベースとなる1段ゲート分の演算に相当する試料をSiベースで作製し、スピン輸送を達成、即ち、演算1段分の素子を創製した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://bio.mc.elec.eng.osaka-cu.ac.jp/shikoh_index.html