研究課題
平成28年度は、レーザーキャビテーションバブルによる結晶多形制御が高効率に行える条件をもとに、本技術の汎用性を高めることを目的として研究を推進した。汎用化の柱の一つ目は、本技術のスケールアップであった。これまでのレーザーによる多形制御は、ごく微量(~数ml程度)の溶液で行われていた。技術のスケールアップは、超音波によるキャビテーションバブル発生技術を中心に研究を進めた。その過程で、超音波を印加する環境に特定のポリマーを添加しておくと、ポリマー周辺でアセトアミノフェンの不安定相(三水和物結晶)が晶出しているのを発見した。三水和物結晶は、それよりも安定な相(Ⅰ形もしくはⅡ形結晶)を同じ環境下に添加すると、溶媒媒介相転移して添加した相のみになる。この特徴を利用しポリマーと溶媒媒介相転移を利用したアセトアミノフェンⅡ形結晶の大量生成(リットルオーダーの系)に成功した。ポリマー添加は、超音波印加をしてから結晶核発生が起こるまでの待ち時間の大幅短縮も実現した。これもまたスケールアップと並んで重要な知見である。ポリマー添加技術は原理的に更に大容量にも対応できる技術として期待できるため、将来的な技術発展が期待できる。汎用化のもう一つの柱は、複数のモデル物質に対して技術が有効であることを示すことであった。これまでに水溶性物質であるアセトアミノフェン、難水溶性物質であるインドメタシンにおいて本技術が有効であることを示してきた。平成28年度にはこれに加えて消炎鎮痛薬である難水溶性のアスピリンの準安定形結晶(Ⅱ形)の晶出を試みた。ポリマー添加系への超音波印加により、これに成功。本研究での目的である汎用性が強く示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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