研究課題/領域番号 |
26286054
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
秋田 知樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電池技術研究部門, 研究グループ長 (80356344)
|
研究分担者 |
前田 泰 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電池技術研究部門, 主任研究員 (30357983)
田中 真悟 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電池技術研究部門, 研究部門付 (50357448)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 表面・界面物性 / 電子顕微鏡 / ナノ材料 / 走査プローブ顕微鏡 / 計算科学 |
研究実績の概要 |
本年度はAu/SnO2触媒を対象として触媒電気伝導測定を行った。粉末触媒をリング電極に塗布して電気伝導を測定したところ、室温でも反応ガス中での電気電導の上昇が確認でき、Au/SnO2触媒においても触媒活性と電気伝導性との間に相関があることが明らかになった。さらに、SSRM(走査型広がり抵抗顕微鏡)による局所活性評価の可能性を検証するために、ガス中での触媒粒子の電気抵抗変化を測定した。その結果、SSRMで測定される電気抵抗変化はリング電極で測定したマクロな電気抵抗測定の結果と定性的に一致しており、SSRMによる局所活性測定が可能であることを示唆するものであった。 金微粒子の内部ポテンシャルについて電子線ホログラフィーによる測定を行い、位相変化量を精度良く検出するために低加速での測定条件を検討し、空間分解能は制限されるものの、位相変化量を感度よく測定することができた。また、Au/CeO2界面についてABF-STEMとADF-STEMによる観察を行い、界面の酸素の観察条件について検討した。高いスキャンレートでのSTEM観察により連続画像を取得し、積算画像を構築することによってSNの良い画像を取得することができた。その結果、Au/CeO2(111)界面において酸素原子列の存在を示唆する観察像を取得することができた。 計算では、昨年度取り組んだAu/SnO2(110)界面での雰囲気触媒活性に関する表面ストイキオメトリ依存性について検討をすすめた。SnO2(110)-(2x2)表面に対してAuナノロッドのモデルを作成し、ナノロッドエッジ付近や界面周縁部付近でのCO分子及びO2分子の吸着状態や両者の反応の素過程を調べた結果、オフストイキオメトリック表面において、特異的なO2分子の吸着及びCO分子と吸着O2分子との反応過程の存在を見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
触媒材料の電気伝導測定ではSSRM測定において順調に成果が得られつつある。Au-酸化物界面の電子顕微鏡による高分解能STEM観察においても酸素原子列の観察の可能性が示唆されており、定量評価へ向けての準備ができつつある。Au微粒子の内部ポテンシャル評価における電子線ホログラフィーの測定においても測定条件を検討し、測定スキームを確立しつつあり、各研究課題においてはおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
触媒活性評価、電気伝導測定、電子顕微鏡観察の各研究課題において成果が得られつつあり、今後、計算科学の結果と合わせて、各々の実験結果を総合的に検討して、触媒活性と電気伝導の関係について明らかにしていく。
|