平成28年度までに構成したフェムト秒光パルスの偏光が伝播する様子の動画像を記録できる光学系では,ホログラフィック乾板を用いて記録していたために書き換え可能ができずその場での再生が原理的に不可能であった.そこで,ホログラフィク乾板に代えて撮像素子にフェムト秒光パルスの偏光が伝播する様子の動画像のホログラム記録し,コンピュータで伝播する様子の動画像を再生するデジタルホログラフィシステムを構築した.一般的に撮像素子のサイズは数mm程度と小さい.そのために,ホログラフィック乾板を用いて記録していた,昨年度までに構築したシステムに用いていた偏光フィルタアレイを,この撮像素子のサイズに合わせて作製するのは困難である.また,撮像素子の画素間隔は数マイクロメートルであり,通常扱われる軸外ホログラムを記録するには粗く,参照光を照射する角度を大きく取れないなどの制限があるので,新たに光学系を設計した. 設計した光学系では,フィルタアレイを用いる代わりに偏光イメージングカメラを記録素子に用いた.また偏光イメージングカメラを用いて記録することで,1枚のディジタルホログラムに0°,45°,90°,135°の4方向の偏光成分の光による干渉縞を画素ごとに空間分割多重記録できるようにした.構築したシステムにより,パルスの持続時間が173fsの光パルスが伝播する様子の4方向の偏光成分の動画像を300fsにわたり同時記録に成功した. 得られた偏光伝播の動画像で記録した偏光状態を定量的に解析できるように,システムを改良させた.改良したシステムでは,得られた実験結果を偏光方向と平均値,偏光長軸方向の強度に分けて表示できるようにした.その表示方法として,偏光長軸方向は物体光のうち最も強度の高い偏光方向を計算し,その方向を色相で表示できるように改良した.
|