研究課題/領域番号 |
26286077
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松山 智至 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10423196)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 量子ビーム / 応用光学・量子光工学 / X線顕微鏡 / 放射光 / X線ミラー |
研究実績の概要 |
本研究では,長時間にわたって結像システムの性能を安定に保つことができる一体型ミラーシステムの開発を進め,これによってXAFSイメージングや蛍光X線イメージングへの応用を目指している. 本年度は,①顕微鏡システムの構築と改良・測定プログラム開発,②結像性能の評価,③XAFSイメージングの実施,④蛍光X線結像の予備テストを行った. ①では,昨年度の実験で問題のあった顕微鏡部品の改良を進めながら顕微鏡システムを完成させた.また,顕微鏡撮像を自動化するための測定プログラムの開発を行った. ②では,SPring-8にて,結像特性評価を行った.50nmのテストチャートを解像することに成功した.色収差の評価を行ったところ,8-12keVにおいて色収差なしを確認した.長期安定性を評価したところ,21時間以上にわたってこの性能を維持することができた. これによって,開発した顕微鏡システムは,高分解能でありかつ実用性も兼ね備えていることを実証できた. ③では,サブミクロン粒径の微粒子試料に対して,XAFSイメージングを実施した.個々のピクセルでXAFSスペクトルを取得しながら試料像を結像することができた.また,吸収端の違いでZn,W,WCの識別をすることができた. ④では,蛍光X線結像の予備実験を行った.Cuメッシュを試料とし,その蛍光X線を結像したところ,試料像を取得することができた.また,明瞭な蛍光X線スペクトルを得ることができた.得られた知見から,蛍光X線結像の実現可能性を示すことができ,次年度以降の本格的な実験に移行することが可能であると結論づけた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度において,本顕微鏡の設計値である50nmの空間分解能を達成した.これは色収差がないX線顕微鏡では世界初である.また,その性能は長期間にわたって維持され,予想以上の安定性を示した.XAFSイメージングも実施し,高い空間分解能を維持しながらXAFS分析を実施することができた.蛍光X線結像においては,来年度の実験の予備実験を成功させ,本実験に向けて必要な情報を取得できている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は,蛍光X線結像実験を本格的に実施していく.蛍光X線結像用のハードウエアの最適化を進める.最終的には,実サンプルを測定するなどのデモ実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
X線顕微鏡のハードウエア開発が予想以上にうまくいったため,部品作製の試行錯誤がなく,開発費を節約できた.
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次年度使用額の使用計画 |
蛍光X線結像実験のために,顕微鏡システムの最適化を行う予定である.そのための改造費として本予算を使用する.
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