研究課題/領域番号 |
26286078
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
難波 愼一 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00343294)
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研究分担者 |
岸本 牧 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 主任研究員 (40360432)
神門 正城 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 主任研究員 (50343942)
長谷川 登 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (50360409)
錦野 将元 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 副主任研究員 (70370450)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超短パルスプラズマX線源 / パルス幅計測 / 相対論的レーザープラズマ |
研究実績の概要 |
高速で変化する現象を計測するフラッシュ光源技術は今,原子内の電子の動きをも撮影可能なアト秒時間領域に入ろうとしている.我々はこれまでに高出力ピコ秒X線レーザーと低出力アト秒X線レーザーの開発に成功した.本研究の最終目標はこれらを両立したアト秒/フェムト秒高出力X線レーザーを実現することである.このうち本研究では以下の2つの具体的な目的を設定した.(1)アト秒X線を時間分解計測できる超高速レーザー分光システム(アト秒ストリーク)の開発,(2)相対論的レーザー生成プラズマから放射されるコヒーレント高次高調波に本計測法を適用し,X線パルスのアト秒時間特性と高調波発生機構を解明する.得られた結果から次世代超短パルス高輝度X線レーザーとしての可能性を探る. 平成26年度は超高速レーザー分光のためのポンププローブ光学系の構築,及び,磁気ボトル型電子分光器の高性能化を最大の研究目標として掲げた.本システムが十分な性能を有していることを調べるために,ピコ秒プラズマ励起X線レーザーのパルス幅計測を行った.その結果,ポンププローブ法で得られた値はX線ストリークカメラで計測されたパルス幅と良い一致を示すことが判明した.また,軟光子近似(Soft photon approximation)を用いた数値解析を行い,X線ポンプ,IRプローブの遷移確率を決定することにもできた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に計画していた内容のうち,超高速レーザー分光に必要な光学系の構築,電子分光器の高性能化,ピコ秒X線レーザーを用いたポンププローブ法の原理実証については予定通りに研究を遂行することができた.ただし,レーザー駆動プラズマX線の発生については,ドライバレーザーの高出力化,高性能化のためのアップグレード作業(補正予算による措置)が行われたため実験を行うことができなかった.分光器や真空容器の整備については当初の予定通り行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は6月にはレーザー駆動X線源の発生実験を行う.まずは,プラズマ励起Kalpha X線の発生実験を行い,分光計測にて光子数や集光性能の試験をする.集光にはキャピラリーレンズを用いる.その後,超高速レーザー分光システムをX線発生チャンバーに備え付け,X線のパルス幅計測を行う. これらの実験が終了後,アップグレードされたJKARENレーザーを用いて相対論的レーザープラズマ生成実験を開始する.特に,安定してこのような特異なプラズマが発生する条件を探ることに重点を置いて研究を行っていく. なお,上記課題は日本原子力研究開発機構関西研究所の施設利用課題として平成27年度も採択されているので,確実に実験を行うことができる.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に予定していた相対論的レーザープラズマを発生させるためのドライバレーザーが補正予算により出力性能を大幅に向上させる措置が行われた.したがって,それに伴う旅費,消耗品を平成27年度にて使用することになった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に購入予定であった消耗品は7月納品予定.相対論的レーザープラズマの発生実験を10月に予定しているため,平成26年度の旅費を計上する.なお,平成27年度は予定通り計上した予算を使用予定である.
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