密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算は、物質の電子状態とエネルギーを高精度計算するための強力な手段である。通常、計算コストが原子数Nの3乗に比例して増加するため、系を小さな部分系(フラグメント)に分割してコストをNの1乗に抑える分割統治法が開発されているが、全系に広がった電子状態やそのエネルギースペクトルを計算できないため、利用範囲が限定されていた。 そこで我々は、分割統治法で計算された部分系の波動関数およびエネルギースペクトルを利用することで,全系のハミルトニアンを構成する手法を開発した。これにより、高速かつ簡便な全系の電子エネルギースペクトル計算が可能になった。
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