研究課題/領域番号 |
26286088
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
曽我部 知広 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (30420368)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 行列関数計算 / 国際ワークショップ / テンソル計算 |
研究実績の概要 |
行列関数を係数に持つ大規模線形方程式に対する高速解法の開発を目的とし,行列関数として行列多項式,行列指数関数,行列平方根を対象としている.平成26年度(初年度)の実績は以下の通りである. (1)研究補助員の採用による研究基盤の構築:計画通り研究補助員を2名採用し,広報用のwebサーバーの構築および行列関数計算の基礎に関するコーディングを行った.この準備は,数値解法の効率的実装および研究計画終了時のソフトウェア公開に繋がる.(2)高精度解法に関する技術支援:精度保証の専門家から,高精度解法に関する技術提供を受けた(平成26年5月30日).これにより,本計画で開発される解法の高精度化が期待できる.(3)国際ワークショップの開催:ソフトウェア開発・行列計算・精度保証分野の専門家を集めた国際ワークショップを開催し(平成26年11月22日-24日,中国電子科技大学,中国成都),本研究計画に関する情報収集および支援体制の強化に繋げることができた.(3)高次シフト不変性の解明:研究課題の理論的核であるクリロフ部分空間の高次シフト不変性の数学的構造を調べた.本成果を基に解法の開発を行う予定である.(4)行列平方根に関する成果: 行列平方根の効率的解法に関する進展があった.行列平方根を求める著名な解法としてNewton法があるが,その収束性は初期値の選び方に強く依存する.本研究では,ある種の最適化問題に帰着することにより,物性物理に現れる問題に対して,有用な初期値を見出す基礎技術を確立した.(5)テンソル計算に関する成果:テンソルは行列の一般化としてとらえることができるが,このテンソル計算に関する進展があった.行列関数からテンソル関数への布石となる研究であり,本研究計画の広がりに繋がる成果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた(1)~(4)はほぼ予定した研究計画通りであるが,解法設計のフェーズは遅れ気味であるため,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,具体的に解法を設計するフェーズに移行する.おおむね順調に進展しているため,平成26年科学研究費助成事業交付申請書に記載されたとおりに研究を遂行する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度より研究代表者の所属が変更が決定した.これにより研究環境の変化に対応すべく予算調整が必要になったため.
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次年度使用額の使用計画 |
新所属機関では数値計算ソフトフェアの整備が必要になるため,次年度研究遂行に必要な環境整備等に充当する.研究補助員の新規採用についても検討する.
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