研究分担者 |
倉田 和浩 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10186489)
川上 竜樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20546147)
池畠 優 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90202910)
宮本 安人 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (90374743)
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研究実績の概要 |
主な研究目的は広く偏微分方程式の初期値問題や境界値問題において, 解の幾何学的挙動と領域の幾何学的情報との関係を明らかにすることであった。代表者の主な成果は次の2つである。 1. 速い拡散を記述する非線形拡散方程式の解の初期挙動と領域の境界の曲率の関係を明らかにし, 成果を論文:S. Sakaguchi, Kodai Math. J. 37 (2014), 680-701で発表した。 2. 初期値を領域の特性関数とする3次元ユークリッド空間上の熱方程式の初期値問題の解が不変等温面を持つ場合の一般的特徴付けを与えることに成功した。これまでは領域の境界が有限位相をもつことを仮定していた。この研究により, 熱方程式の初期値問題において, 3次元空間内の球面, 円柱面, 超平面の組の不変等温面による一般的特徴付けがほぼ完成した。成果を論文 R. Magnanini, D. Peralta-Salas and S. Sakaguchi, Math. Annalen 掲載受理印刷中, で発表した。 分担者倉田と代表者は熱方程式の解の熱含量に関するある最適化問題について端緒となる成果を得た。代表者と海外研究協力者 H. Kang と H. Lee (韓国) は3次元導電場の方程式に関する球殻領域決定の逆問題について端緒となる成果を得て学術誌に投稿した。分担者川上は非線形熱方程式の漸近形の研究を発展させ, 成果を3つの論文で発表した。分担者池畠は熱方程式, Laplace方程式とMaxwell方程式系に対して領域の幾何学的情報を解の情報から抽出する問題を囲い込み法を指導原理として研究し, 成果の一部を学術誌に発表した。分担者宮本は半線形楕円型方程式の解全体の構造を分岐理論を用いて研究し, 成果を5つの論文で発表した。特に球領域上の優臨界(超臨界)型方程式の正値球対称解の解構造を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題に対して相応の進展があった。特に3次元ユークリッド空間上の熱方程式の初期値問題において, 初期値を領域の特性関数とする解を考える場合, 不変等温面による球面, 円柱面, 超平面の組の一般的特徴付けをほぼ完成した。これは3次元ユークリッド空間上の熱方程式の初期値問題におけるほぼ最良の結果と言える。
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