研究分担者 |
倉田 和浩 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10186489)
川上 竜樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20546147)
池畠 優 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90202910)
宮本 安人 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (90374743)
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き, 主な研究目的は広く偏微分方程式の初期値問題や境界値問題において, 解の幾何学的挙動と領域の幾何学的情報との関係を明らかにすることであった。
代表者の主な成果を述べる。異なる熱伝導率をもつ2種以上の複合媒質上の熱拡散を考えて, 2相熱伝導体の中で同心球の不変等温面による特徴付けを与えた。単一媒質の熱伝導体の場合は球の不変等温面による特徴付けを以前示していたが, 2種以上の複合媒質の場合は不連続な熱伝導率を記述する楕円型作用素を扱わねばならず本質的な技術的困難さがありこの問題は未解明であった。
以下分担者の成果を述べる。倉田は非コンパクトな距離グラフ上での非線形シュレディンガー方程式のエネルギー基底状態の存在問題やアレンカーン型方程式に対するヘテロクリニック解の存在・非存在問題を変分法的手法により研究し, グラフの形状および空間非斉次性との関係を調べた。川上は様々な非線形発展方程式の解の漸近展開理論について, 成果を5つの論文で発表した。池畠は時間領域における囲い込み法の, きわめて汎用性が高い, より単純なバージョンを見出し, 成果を4つの論文で発表した。宮本は全領域上のべき型非線形項を持つ優臨界準線形楕円型方程式の2つの球対称解の交点数を調べ, ディリクレ問題の分岐構造を明らかにし, べきとは限らない一般の増大度を持つ優臨界半線形楕円型方程式に対しては, 一般化相似変換による極限方程式を導出し, それを用いて, 分岐構造を明らかにした。
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