研究課題
15バンド同時撮像装置DMCについては、予算減額に対応して、他の財源も活用しながら製作をすすめている。平成27年度は、CCDを15個中13個購入し、またCCDの読み出しに必要な電源等も購入、新しいデュワーの設計を行った。超新星環境の観測については、低分散分光撮像装置LISSを2mなゆた望遠鏡で多バンドの撮像観測を行いつつある。特に900nmよりも長波長側にある[SIII]輝線に注目した観測等を行っている。また近傍銀河の超新星出現場所付近の星団をハワイとチリの望遠鏡によって面分光観測を行った結果を研究協力者のKuncarayaktiらと発表した。この手法は今回は重力崩壊型超新星に用いたが、超新星爆発までに時間のかかるIa型超新星への適用可能性を調べるため、ハッブル宇宙望遠鏡やVLTのアーカイブデータを用いて、渦巻銀河における恒星の移動や星生成史についての研究を研究協力者の橋場を中心に行った。その結果、密度波理論が成り立っていないかもしれないと言われていた渦巻銀河の中での星の移動も、密度波理論の予想に比較的沿っている可能性があることを示した。その他に、スローンデジタルスカイサーベイの超新星と母銀河の関係の結果を研究協力者の高梨を中心にすすめ、Ia型超新星の種類と出現環境がそれぞれ2種類ある可能性を示す結果を得て査読雑誌に投稿中である。さらに研究協力者の満田と、超新星探査を行った赤方偏移1付近の銀河について、特に早期型銀河の形状の観測研究を進め、スローンデジタルスカイサーベイの銀河と比べ、変化がさほどないことを示し、結果を査読雑誌に投稿中である。加えて近傍超新星探索をリードするカリフォルニア工科大のKulkarni教授を招聘、東京大学で開催された「宇宙の距離梯子」についての国際スクールで講義をお願いすると共に、超新星や出現環境についての議論を行った。
3: やや遅れている
DMCのカメラ部分の高感度・高速化については、予算が削減されたのに対応し、他の財源をあわせてすすめている。27年度においてはすべてのCCDを購入することができなかったが、28年度予算とあわせて購入見込みができた。
DMCによる観測は最終年度になってしまい、一部の成果しか出せない可能性がある。一方、計画当初に比べ、スローンデジタルスカイサーベイの超新星と母銀河の研究が進み、また近傍銀河の星生成史の研究や遠方銀河の測光的性質の研究なども進んでおり、全体としては想定通りの成果が出せる見込みである。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Publications of The Korean Astronomical Society
巻: 30 ページ: 139-143
10.5303/PKAS.2015.30.2.139