本研究の目的は、近傍銀河の超新星出現環境を、多色撮像を中心とした様々な観測的方法で調べ、超新星の起源にせまることである。Ia型超新星については、昨年度、可視撮像による明るさと色の関係である。スローンデジタルスカイサーベイの超新星サーベイの結果を用い、明るさと色について、いわゆるPhilips関係からのずれを調べ、Ia型超新星には母銀河の星生成活動度(色)に応じて少なくとも2種類の細分類が必要だということを示した。同時に塵の性質のばらつきも2種類ある可能性を示した。その発展研究として、S0銀河に出現したIa型超新星について、すばる望遠鏡での早期観測および大型望遠鏡による分光結果から、ヘリウム外層が爆発する珍しいケースを発見しネーチャー誌に発表した。ただし統計的研究には至らず、全体におけるこの超新星の意義付けは将来の課題である。 また重力崩壊型超新星については、5種類の面分光装置を用いて近傍に出現した83個について出現環境を調べた。Ic型が最も星生成が活発な場所に出現する傾向があるものの、金属量依存性は有意な違いが認められなかった。またどの型の重力崩壊型超新星も、親星の一部は連星である可能性が高いことを示した。結果をA&A誌に投稿、受理されている。 さらに、Fast Radio Burstの母銀河についてすばる望遠鏡にKyoto3DII面分光器を搭載しての観測を実施、Hα線の解析から、星生成が活発な環境であることを示した。 また、世界的にユニークな観測装置である、可視15バンド同時撮像装置DMCを活用した観測を行い近傍母銀河の星生成史について調べるため、CCDの高感度化をおこなった。
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