研究課題/領域番号 |
26287034
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
井上 昭雄 大阪産業大学, 教養部, 准教授 (30411424)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光学赤外線天文学 / 理論天文学 / 宇宙再電離 / 銀河形成進化 |
研究実績の概要 |
すばるHSC(Hyper Suprime-Cam)にわれわれのグループで製作した中帯域フィルターIB945を装着した観測計画について、連携研究者の大内正己(東京大学)および柏川伸成(国立天文台)、また研究協力者の嶋作一大(東京大学)と、研究会やテレビ会議等を通じて検討を重ねた結果、他の複数の狭帯域フィルターによる観測と組み合わせたインテンシブ観測(2年20夜)として提案することになった。今後さらに半年をかけて計画を練り上げ、S16A期(2016年2月から7月、2015年9月締切)に向けて観測提案書を準備することになった。 並行して、京コンピュータによる宇宙再電離大規模数値シミュレーションを進めた。宇宙再電離輻射輸送計算の土台となる、ダークマター構造形成の大規模N体シミュレーションが、連携研究者の石山智明(筑波大学)により実行された。次に、各ダークマターハローの電離光子放射率および電離光子スペクトルのモデル化のため、高空間分解能の数値輻射流体銀河形成進化計算にもとづく“レシピ”の作成が、連携研究者の長谷川賢二(筑波大学)により行われた。この成果は2015年春の天文学会において発表され、現在、論文執筆中である。 また、Lyα輝線銀河(LAE)のモデル化にはLyα光子輸送シミュレーションが必要となる。連携研究者の長谷川賢二の協力により、今年度後半からその開発に着手し、いくつかのテスト計算を実施した。 その他、宇宙再電離過程に重要な役割を果たした初代銀河を発見するための観測手法についての研究と、銀河の電離光子放射率の観測的制限についての研究を、海外の共同研究者らと実施し、それぞれ、論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すばるHSCを用いた観測計画の立案過程で、他のフィルターと組み合わせた大規模観測計画とする方がサイエンスが大きく広がるとの判断から、当初計画より1年遅れとなるもののS16A期からの観測を目指すこととなった。観測実施時期の1年程度の遅れはもともと可能性があると見込んでいたものであり、大きな遅れとは考えていない。
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今後の研究の推進方策 |
すばるHSC観測については、他のフィルター製作グループと合同で大規模観測計画としてS16A期に提案を行ない、2年間で実施する。並行する宇宙再電離大規模数値シミュレーションは予定通り進捗させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度後半は、米国カリフォルニア州に長期出張となったため、本研究課題に関する研究発表を実施せず、出張旅費に余剰が出た。また、本研究課題に関する物品購入も実施しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究員給与および研究打ち合わせ・研究発表のための出張旅費として使用する。
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