研究課題
本研究課題は、宇宙再電離と呼ばれる現象において、電離光源の正体と電離度の時間・空間的進化の解明を目的としている。具体的には、再電離完了期である赤方偏移z=6.6 の宇宙を、すばる望遠鏡の新主焦点カメラHyper Suprime-Cam (HSC)に特製フィルターを装着して観測し、その時代のLyα輝線銀河とライマンブレイク銀河の空間分布を比較する。それにより、世界で初めて電離度の空間分布を観測的に描き出す。同時に、銀河形成進化を詳細に考慮し、かつ、広大なHSC 探査領域に匹敵する大規模な宇宙再電離数値シミュレーションを行い、HSC 探査の結果と比較検討することで、電離光源に対しても制限を与えることを目指している。今年度の成果は以下の通りである。(1) HSCの特製狭帯域フィルター5枚を擁するインテンシブプログラムを組織し、審査を経て13夜の割り当てを受けた。2017年1月~3月に5夜の観測を実施した。(2) 宇宙再電離数値シミュレーション結果を天文学会で発表した。論文は現在執筆中。(3) 再電離シミュレーションに組み込むLyα輝線銀河モデルの開発を行ない、天文学会で発表した。論文は現在執筆中。(4) 銀河形成シミュレーションを用いて再電離期の銀河からの輝線放射強度予想を行なった。論文出版済。(5) 再電離期の星形成銀河をALMAで観測し、酸素輝線の検出に世界で初めて成功した。電離光子の脱出率などに新たな制限を与えた。論文出版済。(6) 再電離後の赤方偏移z=3.1における星形成銀河や活動銀河核の電離光子を直接観測し、脱出率に新たな制限を与えた。論文出版済。(7) 赤方偏移z=3.1の星形成銀河を近赤外線分光し、電離光子脱出の物理機構に新たな制限を与えた。論文出版済。(8) 赤方偏移z=3.1の原始銀河団領域での銀河間中性水素の天球面分布を初めて可視化した。論文出版済。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (3件)
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