研究課題
原子核乾板を用いてダークマターを検出する国際プロジェクト(NEWS: Nuclera Emulsion for WIMPs Search)が進行中である.ダークマターの反跳粒子のような短寿命素粒子が作る飛跡は,光学顕微鏡で解像しないほど微細であり,このような微細飛跡の検出が必要である.本研究ではそのプロジェクトの一環として,微細飛跡の検出技術の開発を進めた.光学顕微鏡は安価で簡便な測定機であるが,解像度不足を補う超解像顕微鏡法の適用が必須となる.ここでは,①蛍光標識化法と,②局在表面プラズモン共鳴発光法の2つの手法を検証した.飛跡を作る現像銀粒子を媒染剤に変換し,蛍光発光色素を吸着させる蛍光標識化法では色素の選択が重要であるが,色素間の相互作用により飛跡上で特異的発光を示す混合色素系を見いだした.これより微小現像銀粒子の解像限界を調べた.光学顕微鏡では解像しない微小粒子も,蛍光標識化法では粒子ごとの発光点として観察され,超解像顕微鏡法として利用可能であることが確認された.しかしながら,高解像度の超微粒子乳剤からなる原子核乾板では,重粒子イオンの飛跡が記録されなかった.これは原子核乾板の感度不足で飛跡が写っていないためと結論され,超微粒子乳剤に適した増感法の探求を行った.超微粒子乳剤では各種の還元剤の添加により,大きな感度上昇が得られることが見いだされた.もう一つの手法として,金属微粒子の示す局在プラズモン共鳴発光の利用を検証した.光学顕微鏡の光学系の工夫により,解像しない微小粒子が発光で認識され,超解像顕微鏡法となりうることが示された.この局在プラズモン共鳴発光は偏光依存性を持ち,微細現像銀はフィラメント状で異方性があることから,偏光を回転させることで接近した粒子も順に発光して,区別して検出することができた.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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