研究課題/領域番号 |
26287053
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
三部 勉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80536938)
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研究分担者 |
齊藤 直人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20321763)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 位置較正 / 時間較正 / 異常磁気能率 / 電気双極子能率 / ミューオン |
研究実績の概要 |
初年度に行った試験用シリコンストリップセンサーの基礎特性評価の結果を踏まえて、シリコンストリップセンサーの実機設計を行い、羽根モジュールの構造に関する基本設計を行った。実寸スケールで羽根モジュール及び構造体の簡易的なモックアップの作成を行い概念的に問題がないか検証することができた。 電気双極子能率の目標感度を得るためにはシリコンストリップセンサーの設置角度が10μrad以下程度に抑える必要がある。設置後に位置・姿勢を監視する方法について具体的な検討を行った。検討の結果、羽根モジュールとそのサポート構造体上にいくつかモニター点を設置し、モニター点の間の距離を1μm程度の精度で測長することで、要求される位置の変動を監視できることが分かった。この考え方に基づき、レーザー干渉計を用いた測長システムの基本設計を行い、次年度に実証するための準備を整えた。また、安定なクロック信号の分配のため、フロントエンド読み出し回路の試作チップの評価を行い、想定される性能で動作することを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実機に用いるシリコンストリップセンサーの設計、読み出し回路の評価が完了し、予定通り具体的な検出器支持構造の基本設計に着手できた。これに基づき、熱による変形やモックアップによる構造健全性の確認を行うことができた。シリコンストリップセンサーの変位の測定については、光コムレーザーを用いた干渉計を用いることで当初考えていた方式よりも安定かつ高い感度が得られることが判明し、この方式で行うように計画を変更した。この変更により、今年度は具体的な測定方法を決定するにとどまり、当初目的としていた原理実証までは進むことが出来なかったが、次年度に遅延無く進める準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、これまでの研究成果を踏まえて光コムレーザーを用いた1μmの精度での測長の原理実証、最終段階にあるフロントエンド読み出し回路を用いて、Rb原子周波数標準装置からクロック信号が安定して分配することができるか検証し、要求される精度で検出器の時間的・空間的較正が出来るかどうか結論を出したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
測長方式を変更したことにより、H27年度に調達を予定していた機器の仕様の変更が必要となり、仕様決定に時間を要したため。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度に決定した仕様でH28年度に機器の調達を行う。
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