研究実績の概要 |
平成29年度の当初計画は、(a) 前年度得たデータを基に7Be(n,a)4He反応の総合的な評価解析と発表、(b) 7Be(n,p)7Li反応の崩壊分岐比 p1/p0測定実験実施、(c) H28年度に行ったトロイの木馬法(THM)による7Be(n,p)、(n,a)反応の実験結果解析、であった。 (c)H29年6月宇宙核物理の国際会議OMEG2017で、久保野が当科研費成果を中心に、BBNのLi問題について総合報告をした。また、同6月に開催された国際会議Nuclear Physics in Astrophysicsでも、川畑が同成果を報告した。また、H30年3月開催の日本物理学会では、川畑が同問題を総合講演した。また、物理学会誌のH29年1月号に、「宇宙Li問題の解決を目指して」を川畑+久保野で寄稿し、昨年当科研費活動で得た成果と、研究の現段階を報告した。 (d)7Be(n,p)7Li反応の実験研究については、H28年度までの残り課題であった標的について、Be標的を実験的な検討を行った。Li7標的に比べてバッキングが不必要で、空気中で反応しないBeの薄膜を入手し、東北大学のサイクロトロンで、標的の不純物の同定を行い、十分に小さいことを確かめた。同時に9Be(p,d)8Be*反応で、8Beの問題エネルギー領域の共鳴準の励起を確認した。本実験を行うJAEAのタンデム加速器の長期故障のために、最終実験を平成30年4月初旬に行った。目的の8Beの励起エネルギーで18-22 MeVからの崩壊の陽子が明確に観測された。現在データの解析中である。 (c) H28年11月、7Beビームを用いたTHM (Trojan Horse Method)法の実験を行い、現在解析が進行中である。本件は、東大CNSグループとの共同研究で行った実験であり、相補的データが取得できる可能性がある。
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