研究課題
昨年度得られた「光のシュテルン・ゲルラッハ効果」、すなわちミリメートルサイズのカイラルメタ原子を用いて構築した不均一カイラルメタ物質がマイクロ波にとって「磁場」のように振る舞う現象、で得られた知見を基礎として、カイラルメタ原子を磁気カイラルメタ分子に置き換えて不均一磁気カイラルメタ物質を作製し、自由空間での10GHz帯マイクロ波の伝搬を調べた。現在実験結果を解析中であり、マイクロ波に対する人工的ゲージ場の発現が期待される。更に磁気カイラルメタ分子の高周波での機能発現の為に、応力誘起自己巻き上げ法を用いて作製したマイクロメートルサイズの強磁性体カイラル構造を伝送線路強磁性共鳴で調べた。そして30GHz帯で単一メタ分子からの強磁性共鳴を観測することに成功した。また電磁波のみならず、電気伝導での磁気カイラル効果(磁気カイラル電気伝導)の観測を目指し、走査型電子顕微鏡中でのナノプローブ装置を用いて、磁場下での単一メタ分子の電気伝導を測定した。これらの成果は国内及び国際会議で発表し、論文投稿を済ませている。またスペインとの共同研究で学んだ可視光領域での磁気光学エリプソメトリーの手法を用いて、マイクロ波領域での磁気光学・光学活性エリプソメトリーの実験の検討に着手した。そして今後に向けた新しい展開として、メタ固体物理学の開拓を始めた。カイラルメタ原子を二次元にならべた二次元カイラルメタレイヤでのマイクロ波の伝搬を調べた。実験でマッピングした近接場磁場がメタレイヤの端に局在すること、そして局在範囲がメタ原子のカイラリティに応じて入れ替わることが明らかになった。この結果は電磁界シミュレーションでも再現され、マイクロ波がメタ原子で特定の方向に散乱されることを示唆している。この結果は固体での電子のスピンホール効果などとのアナロジーで大変興味深い。この成果の投稿論文を現在準備中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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