研究課題
前年度に引き続き、アンチポストペロブスカイト型クロム化合物の構造物性に関する研究を推進した。固相反応法により合成したCr3GaN-Cr3GeN固溶体およびCr3GeN-Cr3GeC固溶体に対して、粉末X線回折、DTA測定、DSC測定を通して、温度-組成平面における詳細な相図を作成した。その結果、アンチ構造においてポストペロブスカイト相転移が起こることを実証した。トレランス因子に基づいた議論により、ポストペロブスカイト構造相転移は、イオン半径のミスマッチにより駆動されていることを明らかにした。こうした機構はMgSiO3で議論されてきたものであり、正構造とアンチ構造のいずれにおいても同一の機構が働いていることが判明した。さらに、ポストペロブスカイト相転移の境界近傍に、空間反転対称性の破れた正方晶ペロブスカイト相が存在することを見出した。これは、MgSiO3におけるポストペロブスカイト相転移の境界近傍では、空間反転対称性の保たれた斜方晶ペロブスカイト相が存在するのと対照的である。空間反転対称性の破れた正方晶ペロブスカイト相は、立方晶ペロブスカイトから八面体ユニットを回転させることでは得られないため、イオン半径のミスマッチにより駆動されているとは考えにくい。むしろ、化学結合の共有結合性により駆動されている可能性が高いことが判明した。こうした構造相転移の機構は強誘電体で議論されてきたものである。アンチポストペロブスカイト型クロム化合物は導電体であるため、本物質群は空間反転対称性の破れた金属という観点からも興味深いことが判明した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 37896
10.1038/srep37896
Rev. Sci. Instrum.
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http://dx.doi.org/10.1063/1.4966270