研究課題
非弾性X線散乱は一般には電荷励起を探る手段だが、中間状態でスピン・軌道相互作用が働くL吸収端共鳴非弾性X線散乱(RIXS)ではスピン励起も観測される。そのため、3d遷移金属化合物のスピンダイナミクスの研究にL吸収端RIXSが活用されている。H29年度は、強相関効果によって超伝導が基底状態となったとき、スピン・電荷励起とL吸収端RIXSへの超伝導ギャップの現れ方の特徴の解明を目指し、一次元拡張ハバード模型におけるスピン・電荷励起スペクトル、L吸収端RIXSスペクトルを厳密対角化法で計算した。電荷密度波状態と超伝導状態での比較を行い、超伝導状態に特徴的な振る舞いがRIXSスペクトルに現れることを見出した。この成果は日本物理学会で2回発表し、論文を執筆中である。また、SPring-8の実験と協力しながら、La系と多層型Bi系銅酸化物高温超伝導体の酸素K吸収端RIXSの比較や、銅L吸収端の電荷励起の特徴の比較をd-p模型やt-t'-J模型の理論結果を基礎に議論した。成果の一部は、日本物理学会で報告するとともに現在論文を執筆中である。さらに、4本足梯子二次元t-t'-J模型の動的スピン・電荷構造因子を「京」コンピュータを用いて計算し、銅酸化物高温超伝導体に対する非弾性中性子散乱実験やRIXS実験との比較を行った。日本物理学会で発表するとともに、現在論文を投稿中である。また、それらの成果は、国内外の会議において招待講演などによって報告した。また、関連する励起ダイナミクスに関する研究の行い、様々な機会で成果を報告した。さらに連携研究者との情報交換、議論を様々な機会を捉えて行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Physical Review B
巻: 97 ページ: 014412 (1-6)
10.1103/PhysRevB.97.014412
International Journal of Modern Physics B
巻: 未定 ページ: 未定
10.1142/S0217979218400179
巻: 95 ページ: 184412 (1-5)
10.1103/PhysRevB.95.184412
巻: 96 ページ: 035205 (1-13)
10.1103/PhysRevB.96. 035205
巻: 96 ページ: 115148 (1-8)
10.1103/PhysRevB.96.115148
巻: 96 ページ: 205130 (1-11)
10.1103/PhysRevB.96.205130
巻: 96 ページ: 195141 (1-6)
10.1103/PhysRevB.96.195141
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 16785 (1-6)
10.1038/s41598-017-16935-9