研究課題
近年,物性物理分野で大きく進展している分野に,外部電場によるキャリア注入がある。様々な物性はキャリア数によって制御されるが,従来キャリア数は自由に制御できるものではなく,化学的にドーピングを行なって制御するのが標準的な手法であった。それに対し,外場によるキャリア注入では連続的にキャリア数を制御でき,物性の細かな制御が可能となるのみならず,化学ドーピングで必然的に生じていた結晶の歪なども生じない,新しい物性制御法として注目されている。本研究はこのような電場による物性制御をよりよく理解するために,電場中での界面での物質構造変化を観測することを目的としている。29年度は最終年度であり,成果公開に力を傾けた。一番の成果は,情報科学の助けを得た表面X線回折データ解析ソフトウェアの開発である。最大事後確率推定法による解析手法をJ.Appl.Cryst.に報告し,新聞や世界各国のニュースサイトなどで取り上げられた。これを利用した解析による成果は29年度中には出版に至らなかったが,現在投稿中の段階である。外部電場印加による界面構造変化の観測結果もe-J.Surf.Nanotech.に掲載され,当初計画通りに研究を遂行した。さらに,表面X線回折に関するレビュー論文,及び構造観測による物性研究に関する書籍を刊行し,広く成果を発信した。今後の発展に向けて新しい研究にも着手しており,固液界面での時分割X線反射率測定を本格的に進めている。現時点で20ミリ秒分解能での測定ができている。電場による微妙な構造変化を見るためには統計精度がやや不足しているが,それでも1秒以下の時間分解能での測定が充分にできる事は確認しており,本課題終了後の道筋を作る事ができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
日刊工業新聞 2017 10/24に掲載
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (1件)
e-J. Surf. Sci. Nanotech.
巻: 16 ページ: 76-78
10.1380/ejssnt.2018.76
J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 87 ページ: 061010-1-12
10.7566/JPSJ.87.061010
Journal of Applied Crystallography
巻: 50 ページ: 1611~1616
10.1107/S1600576717013292
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20171023_1