研究課題
本研究は、Ca-Fe-As三元系の物質開発を進め、ヒ素の化学を利用した超伝導転移温度上昇のアイデアを試み、転移温度上昇の物質条件を明らかにすることを目的としている。この中で、平成28年度(2016年度)は、鉄系超伝導体112型CaFeAs2および122型CaFe2As2において以下に示す研究項目を実施し,以下に示す知見を得た。(1) 112型CaFeAs2に大量のLaをドープすると超伝導が抑制され,反強磁性秩序が発達することを昨年度までに明らかにしてきた。今年度は,静水圧を印加すると反強磁性相が抑制され,超伝導が発現することを明らかにした。これらの結果から、112型の超伝導相および反強磁性相についての温度-組成-圧力相図の全貌が明らかになった。(2) 122型CaFe2As2に希土類元素Prをドープした単結晶試料を育成し,蛍光X線ホログラフィーによる局所構造解析の実験を行い,Prドープに伴うAs配列の乱れの発達が,Ca周りでは大きく,Pr周りでは小さいことを明らかにした。この結果は,PrドープCaFe2As2における49K超伝導相の起源に関するヒントを与えるものである。また、関連物質の研究を進め,以下の項目を明らかにした。(3) BaNi2P2-SrNi2P2の混晶系において、リンの化学結合の形成・切断を伴う構造相転移と超伝導相の関係を明らかにした。この成果は J. Phys. Soc. Jpn. に掲載された。さらに,最終年度にあたり,これまで筆者らが進めてきた鉄系超伝導体研究の成果をレビュー論文 "Arsenic chemistry of iron-based superconductors and strategy for novel superconducting materials" としてまとめた。この論文はAdvances in Physics: X に掲載された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 86 ページ: 025002
10.7566/JPSJ.86.025002
巻: 86 ページ: 035001
10.7566/JPSJ.86.035001
Advances in Physics: X
巻: 2 ページ: 450-461
10.1080/23746149.2017.1317024
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 27646
10.1038/srep27646
固体物理
巻: 51 ページ: 681-691