研究課題
東北大学金属材料研究所との共同研究により,ハイブリッド磁石と希釈冷凍機を用いた定常超強磁場中弾性率測定実験により,昨年度終了時に計画した本年度測定予定のPRRh2Zn20およびPrIr2Zn20における回転不変性効果および異方性効果の測定を行った。すなわち,弾性率(C11-C12)/2については,超音波の進行方向kをk // [110],変位方向uをu // [-110]として,磁場Hをそれぞれ[110]および[-110]に印加して磁場依存性を測定した。この配置を,「回転不変性効果」の配置と呼ぶ。弾性率C44では,k // [100],u // [010]として,磁場はそれぞれ結晶学的に等価な[100],[010]および[001]に印可して測定した。磁場が[100]と[010]に平行な場合は「回転不変性効果」の配置とよび,磁場が[001]に平行な場合は「異方性効果」の配置と呼ぶ。この結果,両物質における新規磁場誘起相が出現する臨界磁場より低い磁場で測定した回転不変性効果と臨界磁場より高い磁場で測定した回転不変性効果には明らかな差異が生じることを初めて見出した。この結果は,磁場印加により,我々が予想した新規バイブロニック状態の回転対称性が破れたため,新規磁場誘起相が出現したことを示唆しており,本研究の目的を実験の側面から達成したと言える。ただし,理論的裏付けが必要であることから,現在,量子力学的な解析を進めている。本計画の展開研究として反転対称性の無い三方晶 ErNi3Al9 型構造をもつカイラル化合物 RNi3X9(R:希土類;X =Al, Ga) の回転応答測定を含む弾性的研究も開始した。我々は,DyNi3Ga9の横波弾性率C66の測定結果から,本物質がTM = 10 Kで擬縮退した4f電子結晶場状態間の四極子遷移による強四極子秩序することを初めて明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
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