我々は中性原子の6Liと40Ca+の混合系において,1ミリケルビンから1ケルビンの温度領域における非弾性散乱の観測に成功し,生成された粒子の質量分析から電荷交換反応であることを突き止めた。本研究では6Liを基底状態に,40Ca+を基底状態または様々な励起状態に用意することで電荷交換反応断面積の内部状態依存性についても詳細に調べた。さらにイオンのマイクロモーションを積極的に利用することでイオンの運動エネルギーの制御を可能にし,その手法を用いて電荷交換反応の反応エネルギー依存性を詳細に調べた。本研究は極低温下におけるイオンと原子の間の化学反応過程の系統的な理解への重要なステップとなる成果である。
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